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清掃などで障害者の就労アシスト 川崎フロンターレ

川崎フロンターレ | 神奈川新聞 | 2018年11月9日(金) 02:00

スタンドの座席を丁寧に拭く就労体験の参加者ら=川崎市中原区の等々力陸上競技場
スタンドの座席を丁寧に拭く就労体験の参加者ら=川崎市中原区の等々力陸上競技場

スタンドの座席を丁寧に拭く就労体験の参加者ら=川崎市中原区の等々力陸上競技場
スタンドの座席を丁寧に拭く就労体験の参加者ら=川崎市中原区の等々力陸上競技場

 サッカーのJ1リーグ連覇が目前に迫る中、川崎フロンターレのピッチ外の活動にも熱い視線が注がれている。ホームスタンドの清掃員などとして、障害者や引きこもりの人たちに就労体験の場を提供する試みが成果を上げているためだ。働く楽しさを体感してもらい社会へ踏み出す一歩を今後も“アシスト”できればと、チーム関係者は意義を強調する。
「自信になる」

 9月15日、等々力陸上競技場(川崎市中原区)での北海道コンサドーレ札幌戦。キックオフ4時間半前に、この日の参加者7人が集まった。そろいのキャップとビブスに身を包んだ7人は、健常者のボランティアスタッフとともにスタンドの座席を丁寧に清掃し、観客の入場後はごみの分別作業を手伝った。

 ボランティアスタッフと同部屋で休憩を取るなど特別な気遣いは一切ない。キックオフの午後7時に業務は終了し、交通費として2千円とこの日の観戦チケットが各自に渡された。

 普段はグループホームで働く二階堂嘉一さん(38)は「みんなが楽しそうにしているから自分も楽しいし、自信にもなる」とうれしそうに語った。

成果は如実に


 活動のスタートは2014年7月、「心のバリアフリー」の実現を掲げるNPO法人ピープルデザイン研究所(東京都渋谷区)が同競技場を所有する市と協定を結び、フロンターレ戦での就労体験を提案したことだった。フロンターレ側も申し入れを快諾し、15年から毎回のホームゲームで就労体験が実現。当初は障害者支援が目的だったが、現在では引きこもりやホームレスにも対象が広がった。

 同研究所の田中真宏さんは「元々仕事の選択肢が少ない中で、エンターテインメントの場で働くこと自体が新鮮」と狙いを明かす。市障害者雇用・就労推進課も「企業で安定就労するためにも、自分が何をできるのか実習できる意味は大きい」と意義を語る。

 成果は如実に表れ、17年度までに延べ1803人が就労体験に加わり、159人を正規就労に結び付けた。「客の前に立つことがあまり苦にならないと気付いた」(40代男性)、「頑張って働いていた昔を思い出した」(30代男性)-。同研究所が行ったアンケートでも、有効性を口にする参加者の声が並んだ。

他市に波及も


 フロンターレでの確かな活動内容が評判を呼び、就労体験の場は今では、バスケットボール・Bリーグの川崎ブレイブサンダースなどにも拡大した。他の自治体も関心を寄せ、同競技場への視察が増加。Jリーグ幹部も足を運び、全54クラブへの展開も視野に検討を進めているという。

 FC東京の本拠地で、2020年東京パラリンピックの会場も抱える調布市の担当者は、9月15日の札幌戦を視察。「就労体験といっても何から始めたらいいのか分からなかった。人と触れ合う作業を入れたり、健常者との接点を増やしたりするなどポイントがよく理解できた」と話した。

 ピッチの内外でJリーグをけん引する存在になりつつあるフロンターレの藁科(わらしな)義弘社長は言う。「特別なことはしていないし、強制もしていない。一人でも就労体験がしたいという人がいる限り、活動への協力を続けていきたい」

 
 

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