県内柔道界で女子の競技人口増加に向けた動きが進んでいる。本年度、年齢や経験不問の練習会が始動。その先頭に立つのが元世界選手権銅メダリストで県柔道連盟理事の森山(旧姓八戸)かおりさん(56)=舞岡高教=だ。女子黎明(れいめい)期を支え、長年高校年代の指導に携わってきた柔道家は、自らの歩みを糧に訴える。畳の上では誰もが平等なのだと。
昨年7月から県立武道館(横浜市港北区)で始まった練習会。これまで実施した4回はいずれも25人ほどの参加があり、当初の想定を上回る盛況ぶりだった。
間口は広い。幼稚園児から、70歳近い参加者まで。とりわけ学生時代に活躍しながらも、仕事や結婚、出産を機に競技から長く離れていた人が多いという。
何年間も時間が空いてしまう上、家の仕事があるから道場に通うのは厳しいなどいろいろな事情がある。子どもが始めたから柔道を知りたいと参加した方もいて、こんなに喜んでもらえるんだと感じた
きっかけは昨年2月、全柔連が女子普及をテーマに開いた会合だった。全国の指導者らと意見を交わす中、取り組みに温度差があることが分かった。
神奈川の競技力の高さは全国屈指だ。県内の中学、高校出身者4人が東京五輪代表に内定。強化に重きが置かれる一方、女性に特化した取り組みは他県の後じんを拝する現状があった。
シンポジウムや練習会を10年くらい前からやっている県がある一方、神奈川がやっていないのは、まずい気がした。男性、女性という偏見を持たずに活動すべきなのに、まだ理解が進んでいない状況もある
男子との厳しい修行は財産
森山さんが柔らの道を志したのは中学2年のころ。練習相手は常に男子だった。