感動的なドラマを筋書き通りに見事に演じて見せた。昨季までベイスターズで活躍したJFE東日本の右腕須田が最終回を3者連続三振で締めて、都市対抗大会初制覇だ。
誰もが認める絶対的守護神だ。決勝まで全5戦で救援し、計14回を投げて防御率0・64。圧巻の投球で橋戸賞に輝いた。この日も2点リードの七回2死二、三塁のピンチで「プロ生活を含めて人生で一番スタンドの応援が耳に入って気持ちが乗っていた」と堂々登場。ファイナルのマウンドで羽ばたいてみせた。
ベイスターズでは8年間プレー。16年には62試合に登板し、クライマックスシリーズの広島戦で八回2死満塁の窮地で救援を成功させるなど活躍。右肘の不調で昨季限りで退団したが、古巣JFE東日本に復帰。「自分をもう一度採用してもらったからには、このユニホームで優勝したかった」と感無量の表情だ。
若いチームは今大会、平山快(東海大相模高-東海大出身)らルーキーを軸とした強力打線で3度もサヨナラ勝ち。「投げたからには勝たせる」と須田も自らが精神的支柱であることを自覚して、満身創痍(そうい)な中でも奮闘を続けた。
前身の川崎製鉄千葉時代以来となる21年ぶりの決勝。ドームを埋め尽くした超満員の中には、ベイスターズのユニホーム姿のファンもいた。大声援を久々に浴びた背番号20はハマのファンを沸かせたように「真っ直ぐでいくだけだった」と最後まで真っ向勝負を貫いた。