初のオープン戦を前日に控えた2月20日。メーン球場で、今キャンプ3度目となる守備シフトの確認が行われた。
走者一、三塁で左翼ファウルゾーンに打球が上がり、左翼、三塁、遊撃が飛球を追う。投手は通常、三走のタッチアップに備えて本塁後方に回るが、一走が故意に挟まれる場面を想定して三塁付近へ。左翼手から送球を受けると二塁に転送して挟殺プレーに持ち込み、最後は本塁突入した三走をタッチアウトにした。
「1年に1回あるか、ないかのプレー(の対処法)を確認することで共通認識が高まる」。馬場内野守備走塁コーチが狙いを明かした。
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昨季はシーズン中に石川を外野に回した。記録に残らないものも含めてミスが相次いだ。その反省を踏まえ、今キャンプでは石川が外野でもシートノックを受けたり、左翼が定位置の筒香が実戦で右翼に回ったり。4年目の桑原は「(外野を)当たり前にできるようになって、投手をもっと助けたい」と特守に励んだ。
小池外野守備走塁コーチは「それぞれの選手が自分で考え、何が起きても対応できる準備ができた」。昨季、リーグワーストの116失策を記録した守備のスキルは確実に上がっている。
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新人の台頭もあり、収穫の多かった今キャンプ。ただ、守護神をめぐる懸念は解消されていない。
飛躍が期待される23歳の国吉は、登板3試合すべてで失点。昨季21セーブを挙げた三上は右肘の炎症で2軍調整が決まり、岡島は左太ももを痛めて実戦登板していない。新戦力のエレラは全3試合無失点と好調だが、4月下旬以降とみられるユリエスキ・グリエルの合流後は、外国人枠の兼ね合いで降格させざるを得ない可能性がある。
川村投手コーチは「抑えは(エレラ、岡島、国吉の)3人を実戦で見ていかないと」と、4日から再開するオープン戦で見極める意向を示した。
開幕まで3週間余り。ハイレベルな競争を続け、年間を通じて戦える陣容を整えることができるか-。中畑監督は「3月中旬までに方向性が出てくる」と見通しを語った。