「今、おまえは幸せか?」
春季キャンプ中の2月のこと。左肘の違和感で投球練習がままならないベイスターズの東克樹(24)に、筒香嘉智(28)が問うた。
「けがで野球ができない。幸せじゃないです」
「それは間違っている。けがをしているときこそ周りがよく見える。それを幸せと思えるようにならなアカン」
新人王に輝いた1年目から一転、焦り苦しんでいた東の心に、学びの期間の大切さを諭した主将の言葉は響き、シーズン通して「心の支え」になったという。
ベイスターズで10年間戦い、通算205本塁打で圧倒的な存在感を放ってきた主砲が、手にできなかった優勝。大リーグ、レイズへの移籍が決まった今、その目標を託された後輩たちは、キャプテンから投げ掛けられた数々のメッセージに思いをはせている。
公私ともに行動を共にした柴田竜拓(26)が述懐する。