STが授業をリード
理科の実験で、生徒が先生役担い考察
3年3組の理科の授業。この日の課題は「物体のもつエネルギーの大きさは何によって決まるのだろうか?」だ。生徒は九つのグループに分かれて、実験を繰り返し行っている。それぞれのグループには、「STの私は優しく説明することができます」と書かれた札を下げた生徒がいて、実験をリードしている。STとは「スチューデント・ティーチャー」の略で、文字通り生徒が先生役を担う。
「一通り実験をしましたが、この結果を基に、物体のもつエネルギーの大きさは何によって決まるのか、自分の考えを教えてください」と、STが司会役となり、グループで実験結果からの考察について話し合う。
「同じ高さから転がしても、質量が大きい金属球の方が木片の移動距離が大きかったから、質量が大きい方が物体のエネルギーが大きいってことだと思う」「同じ質量の小球でも、転がし始める高さが高いほど木片の移動距離が大きいわけだから、高さも関係するんじゃない?」。それぞれのグループでSTを中心に議論が展開されていく。
理科でSTを始めたのは2年生の頃から。希望すれば誰でもSTを任される。これまで数回経験している生徒もいれば、今回が初めての生徒もいる。
STは実験前日までに、授業の目的や実験の方法、話し合いの進め方、考察の考え方などについて先生からレクチャーを受ける。しかし、「正解」を教えてもらっているわけではない。
STも「プリントには『図や表で表してもよい』って書いてあるけれど、どう書けばいいのかな」「それはたぶん、高さを横軸にして…」と、グループでの議論に加わる。他の生徒と一緒になって考え、学び合うことに変わりはない。
「先生! 今日、STなんだ!」。生徒がどこか誇らしそうに話す姿も、この学校では日常の光景になっている。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/