あふれる感覚を絵に
作品を展示し地域へ発信 「色使いがいいね」
県立麻生養護学校高等部では、作業学習のアートコースに音楽グループと美術グループがある。このうち、美術グループは「アトリエ・アンカラ」という名称で週2日、美術室で制作活動を行っている。アンカラとは、アイヌ語で「つくる」と言う意味だ。現在、生徒14人が活動している。
生徒たちは友達や教員、家族、車、キャラクター、数字、文字などを題材にし、あふれる創造力を思い思いに画用紙に表現していく。ある生徒は、ペンや色鉛筆で自由に線を描き、別の生徒は、伸びやかに絵の具を塗っていく。アトリエでは、生徒たちが好きな画材を選べるように準備し、自由に制作に集中できるように広いスペースを用意するなど、一人一人が持つ力を発揮できるように環境作りを大切にしている。次々と作品を生み出していく生徒たちの表情は、実に楽しそうだ。
最初は、描きたいことがうまく表現できない生徒もいた。活動を続けていくうちに、大きな画用紙に迷いなく描く上級生を見て、下級生も次第に表現豊かに描くように変化していった。上級生の姿が下級生の憧れになっている。
こうして、生徒たちが生み出した数々の作品は、学校から地域へと発信されていく。近隣の老人ホームや地域の自治会館等に作品を展示すると、地域の人たちから「色使いがいいね」など声を掛けられる。作品を褒められ、うれしそうな表情を見せたり作品コンセプトを得意げに説明したりする生徒もいる。
生徒の描いた作品がメモ帳やタオルとなり、学校の学習発表会で販売され、地域の人たちが買っていく。「こちらがお薦めです!」と自分の作品が描かれたメモ帳を勧めている生徒の姿に活動へのやりがいが伝わる。このような経験の積み重ねにより、生徒たちは自信を深めていく。
絵を描いて終わるのではなく、活動を通して、地域とつながる「アトリエ・アンカラ」。14人の作家が、今日も作品を生み出している。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/