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神奈川新聞と戦争
(148) 1942年 児童も「一銭ヅツ貯金」

神奈川新聞と戦争 | 神奈川新聞 | 2020年8月6日(木) 05:00

1942年8月4日の神奈川新聞に掲載された寿屋の広告「ボクラノヒコーキ」
1942年8月4日の神奈川新聞に掲載された寿屋の広告「ボクラノヒコーキ」

 「危い!」「工員諸君のために」「急がば回れ!」の文字と、板のような物の挿絵。1942年8月3日の本紙に掲載された寿屋(後のサントリー)の広告は銃後の一人一人が「戦力」であると強調し、総動員の思想を浸透させた。

 「あなたの職場は、直接第一線につながつてゐる。あなたの身体は、そのまゝ国家の戦力である。指一本でも間違ひがあつてはならぬ。作業にかゝる前の準備のときや、作業を終へた後片付けの時など、たとへどんなに急いでゐても、決して面倒がらず、足もとや身の回りに気をくばり、工具の整頓につとめよう。急がば回れ!これが正しく実行されただけでも、工場事故の大半はなくなるのだ」

 工場の作業員は「国家の戦力」であり、その身体は、あくまで円滑な戦争遂行のためにこそ守るべきである。「指一本でも間違ひがあつてはならぬ」とは、たとえ指一本のけがでも、その分の「戦力」が落ちる、と言いたいのだ。これまでの広告と同様、国民の健康や安全を案じているわけでは決してない。

 翌4日付紙面に載った広告の見出しは「ボクラノヒコーキ」。主翼に日の丸のある戦闘機の挿絵が添えられた。本文には「日本中ノ国民学校ノ生徒全部ガ毎月一銭ヅツ貯金スルトタツタ一年間デ戦闘機ナラ二十台以上モデキルホド大キナ金高ニナリマス」とある。

 片仮名交じりの文は、明らかに国民学校(小学校)の低学年の児童らに向けたメッセージだろう。

 これも前回まで紹介した貯蓄奨励運動の一端といえる。公債購入や貯金を促し戦費を賄うゆがんだ戦時財政は、子どもにまで「毎月一銭ヅツ貯金スル」よう求めた。

 これらの広告は同月だけで数回にわたって掲載された。同時期の紙面には、例えば「貯蓄は銃後の弾丸なり」(同月24日付、第一生命保険)と、同様に貯蓄奨励政策に基づいた保険会社の広告も掲載。総動員は記事だけでなく、広告を通じても推し進められた。

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