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【K-person】三浦はつみさん
光に導かれて楽器とともに歩んだ23年

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年8月16日(日) 09:41

三浦はつみさん


三浦はつみさん
三浦はつみさん

 横浜みなとみらいホール(横浜市西区)のパイプオルガン「Lucy(ルーシー)」の魅力を多くの人に伝えるべく、開館当初からホールオルガニストを務めてきた。公演がない時も常に楽器の状態を見守り、子どもから大人まで、その音色を楽しんでもらえるような企画を発信。すっかり同ホールの「顔」となったルーシーは多くのファンに愛される存在となった。23年間にわたり、この役職を務められた理由は「熱心なスタッフに支えられたことと、ルーシー自体の強い魅力があったおかげ」と笑顔で振り返る。

 その役目も今年12月まで。11月にはこれまでの集大成となる、二つの公演が予定されている。18日のオルガン・リサイタルでは「死と再生」をテーマに、バッハの「前奏曲とフーガ」などを演奏する。「キリスト教とともに発展してきたパイプオルガンは、天上の美しさだけでなく、地獄の闇を表現することもできる圧倒的な力を持つ楽器。その振れ幅の大きさが好きなんです」。26日のグランド・オルガン・ガラでは多彩なゲストを迎え、ドラマや映画でおなじみの楽曲も披露する楽しいステージを予定している。


「三浦はつみ オルガン・リサイタル」11月18日午後7時開演、全席指定2500円。「GRAND ORGAN GALA」26日同7時開演、全席指定2200円。チケットは同ホールチケットセンター電話045(682)2000。
「三浦はつみ オルガン・リサイタル」11月18日午後7時開演、全席指定2500円。「GRAND ORGAN GALA」26日同7時開演、全席指定2200円。チケットは同ホールチケットセンター電話045(682)2000。

 新型コロナウイルス感染拡大のため、同ホールでも3月から6月ごろまで公演の中止が続いたが「心が研ぎ澄まされ、あらゆることを繊細に感じられるようになった期間だった」と振り返る。「コンサートがない時も、ルーシーに触れることで音楽的なアイデアがあふれてきた。みんなが傷ついている今だからこそ、心を慰めてくれる音楽はとても尊いものだという思いが一層強くなりました」

 「光」を意味する名の通り「歩む道をいつも明るく照らしてくれた」ルーシー。自身だけでなくすべての演奏者を魅了する存在、と実感を込めて語る。「フランスの巨匠と言われるジャン・ボワイエさんを筆頭に、多くの素晴らしいオルガニストを国内外からお迎えしましたが、どの方も演奏後に満面の笑みを浮かべていたことがうれしかった。多彩な音を出せるルーシーと対話していると、さまざまな表現に挑戦したくなるんです」

 同ホールは2021年の1月から約1年半の長期修繕に入る。生まれ変わるホールと、後任のホールオルガニストに期待することは「世界最先端を走るオルガン事業の展開」。「奇をてらうという意味ではなく、私が思いつかなかったような新しい企画で、私を含めたルーシーのファンを驚かせてほしいですね」

みうら・はつみ
 1960年東京都生まれ、横浜市在住。オルガニスト。東京芸術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業。98年の横浜みなとみらいホール開館以来、ホールオルガニストを務める。多彩な演奏活動を通じたパイプオルガンの普及のほか、ホールオルガニストの育成にも尽力。2007年横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。フェリス女学院大学非常勤講師も務めている。

記者の一言
 自粛期間中、これまで敬遠していたロマン派の魅力に開眼した、という三浦さん。「ブラームスのオルガン曲を弾いてみたら、以前は分からなかった表現が腑(ふ)に落ちたんです」と音楽家としての喜びを語ってくれた。ホールオルガニスト卒業後の活動について聞くと「興味を持っている音楽の研究に取り組みます。あとはその時の自分に考えてもらおうかな」と笑顔で語る姿が爽やかだった。改修を終えたルーシーと学びを深めた三浦さんが再会した時、どんな音楽が生まれるのか今から楽しみだ。

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