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【K-person】飯塚健さん
「見た人を元気に」 製作者としての誓い

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年7月19日(日) 11:00

飯塚健さん


飯塚健さん
飯塚健さん

 「荒川アンダー ザ ブリッジ」や「大人ドロップ」などの話題作をパワフルに生み出してきた。どんな物語も強く輝かせるその手腕を信頼し、滝藤賢一さんや伊藤沙莉さんら旬の俳優たちがこぞって「一緒に作品を作りたい」と集まる。

 その中の一人である中川大志さんを迎え、横浜赤レンガ倉庫(横浜市中区)のライブレストラン、モーション・ブルー・ヨコハマで9月に上演する舞台「コントと音楽vol.2 他人関係」では、脚本と演出を担当。vol.1では、絵画を売り付けるデート商法、男女の三角関係など、少し下世話な会話劇を展開。オチで披露されるキャッチーな音楽も含め、飯塚ワールドを詰め込んだ。

 今月17日には、重松清さんの小説が原作の映画「ステップ」が公開された。妻に先立たれ、幼い娘を育てるシングルファーザーを山田孝之さんが繊細に演じている。「劇的な事件が起こる作品ではないけれど、小さな子どもを育てる日々は毎日がドラマチック。自分自身が子育てをしているからこそできた作品かもしれません」


映画「ステップ」は新型コロナウイルスの影響で公開が延期になっていた
映画「ステップ」は新型コロナウイルスの影響で公開が延期になっていた

 この数カ月、営業の自粛を余儀なくされたミニシアターを支援する動きが広がり、自身も寄付を行ったが、複雑な思いを抱いていたという。「医療現場で働いている方々のことを考えると、それどころではないんじゃないかとも思った。東日本大震災が起こった時も、当時撮影中だった映画を作るより、製作費を寄付したほうが社会のためになるんじゃないかとスタッフに相談しました」

 撮影を再開したのはスタッフの言葉があったからだ。「『この作品を作って誰かを笑顔にすることは飯塚監督にしかできないことだ』と言われた。これにうなずくことができなければ、僕は今後、作品を作ってはいけないと思いました」

 映画や演劇、テレビドラマなど、どんな作品づくりにも通底しているのは「見た後に元気になれるもの」。「例えば映画館で映画を見るには、1800円だけじゃなく、行き帰りを含めて4時間を費やしてもらっている。見る前より元気になっていないと詐欺じゃないかと思うんです」。今は特にそれを意識するという。

 「コロナウイルスの影響で傷ついた人たちが映画を見られる状況になった時、ストレスを忘れて笑顔になれる作品でないと作る意味がない。追い詰められ、暗い気持ちになるものよりも、今はポップコーンとビールをお供に見られるものを発信すべきだと思っています」

いいづか・けん
 映画監督、脚本家。1979年、群馬県出身。2003年、映画「Summer Nude」でデビュー。ミュージックビデオやテレビドラマなども数多く手掛けると同時に、舞台演出家、小説家としても活躍している。最新作の映画「ステップ」が横浜ブルク13などで公開中のほか、「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち」が公開を控えている。

記者の一言
 20歳前後の数年間、川崎市で暮らしていた飯塚監督。「お金はなかったけど、映画監督になるために、毎週映画館に行くことを自分に課していた。チネチッタで自分の映画が上映されることが夢でしたね」

 作品中の音楽の使い方にはこだわりがある。9月の「コントと音楽-」にはJ─POPのヒット曲が登場するが「まだ曲目は秘密」。数曲だけ教えてもらったが、観客も思わず歌ってしまうことは間違いない。特に監督と同世代(筆者含む)の方は、懐かしくて思わずうるうるしてしまうかも!

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