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【K-person】藤田優一さん
リスナーに寄り添い かけがえのない日常伝える

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年7月5日(日) 14:00

藤田優一さん


藤田優一さん
藤田優一さん

 会社や学校に向かう人の足音、動き始めた街の気配とセットになった「はぁ~い、フジタでェ~す!」という声が戻ってきた。県民にはおなじみ、FMヨコハマの看板リポーター。新型コロナウイルスの影響で4月からスタジオや自宅からの発信が続いていたが、6月8日、街角でのリポートが再開された。

 1996年10月から続けている「街角リポート」だが「実は一度、やめようと思ったことがあるんです」と明かす。2011年に東日本大震災が起きた頃のことだ。「10年ごろから仕事に迷いがあった。震災が起き、多くの方が亡くなってつらい時に、お気楽なリポートをしている場合じゃないんじゃないかと思い、自分の存在意義について悩みました」。それでも「やっていることが間違いじゃない」と踏みとどまれたのはリスナーのおかげだという。「僕がラジオに出ていることで、日常を感じられてほっとしました、という手紙や電話をたくさんいただいた。だから今回のコロナ禍も、前向きに乗り切ろうと思えたんです」


「Lovely Day♡」月~木曜DJの近藤さや香さん(左)、「Lovely Day♡~hana金~」金曜DJのはなさん(右)。藤田優一さんは月曜日から金曜日までリポーターを務めている。
「Lovely Day♡」月~木曜DJの近藤さや香さん(左)、「Lovely Day♡~hana金~」金曜DJのはなさん(右)。藤田優一さんは月曜日から金曜日までリポーターを務めている。

 リポートを続けてきてうれしかったことは? と聞くと「幸せな出会いがたくさんありましたが…」と前置きし、いくつかエピソードを語ってくれた。「障害があるため寝たきりのお子さんを持つお母様が会いに来てくれて、サインをお渡ししたことがあります。動けないけれど、ラジオを聞き、地図を見ながら『藤田君はいまここだね』と一緒に旅をしているような気分を味わって下さっているそうです。また、視覚障害者の方が会いにきてくださって、サインの代わりに携帯電話に声を吹き込んだこともあります」。独り暮らしをする年配の男性からもらった「孫のおしゃべりを聞くような気持ちでラジオを聞いています」という手紙も忘れられない、という。「ラジオを通して、誰かの役に立てていることがうれしい。ほぼ素人だった僕を温かく見守り、根気よく育ててくれたFMヨコハマには本当に感謝しています」

 今後の目標については「可能な限り、この仕事を続けていければ」と謙虚に語る。「大層なことをしようとは思っていなくて、街の人と同じ目線で、その場の匂いや風を伝えることを大切にしています。寒い雨の朝でも、藤田が外でリポートしているから自分も頑張って会社に行こう、と思えるような一押しになればいい。リスナーの生活に寄り添えるしゃべり手でありたいと思っています」

ふじた・ゆういち
 ラジオDJ。1973年、横浜市出身。FMヨコハマでは、街角リポーターとして「THE BREEZE」(1996~2016年)「Lovely Day♡」(16年~)に継続して出演。2000年4月までは芸名の大友海渡(おおともかいと)として活動していた。同局の番組では「BUZZ STUDIO」(金曜午前3時半~5時)などにも出演中。

記者の一言
 登場のあいさつは、意図して作ったものではないという。「当時のFMラジオでは異質な、間延びしたフレーズだったと思います」と恥ずかしそうに振り返るが、やがて子どもたちにまねされるようになり、今や「お約束」となった。平日は毎日街に出て、声を届ける生活ももうすぐ四半世紀。「自粛生活を経て、より美しく感じるようになった季節の移り変わりを、今後はもっと丁寧に伝えたいです」。自分の声が届く先を想像し、誠実に仕事に取り組む姿に、こちらも背筋が伸びる思いがした。

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