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【K-person】蔵屋美香さん
妖怪イラストが話題 生身の体験が対話生む

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年6月21日(日) 10:00

蔵屋美香さん


蔵屋美香さん
蔵屋美香さん

 東京国立近代美術館(東京都)で学芸員として26年を過ごし、今年4月、横浜美術館(横浜市西区)の6代目館長に就任した。ところが、コロナ禍で臨時休館が続き、自身も都内からの通勤がままならない状況になった。

 そんな中、同館の公式ツイッターに投稿された自身のイラストが注目された。疫病退散に効果があるという妖怪アマビエが同館が所蔵するピカソの女性像を自分そっくり、と眺めている絵だ。

 「幼稚園から“絵がうまい人”のキャラクターで過ごしてきた」といい、ひそかに漫画家を目指し、美大では油絵を専攻。その腕前を生かしたもので「元々あのピカソの絵が好きで」とほほ笑む。


アマビエのイラスト
アマビエのイラスト

 「国立の美術館では地域の人々に楽しんでもらうという役目がなかったので新鮮」と地域に根差した美術館ならではの役割を楽しみにする。一方で「内輪受けになってはいけない」との思いも抱く。

 「例えば『ペルリ提督横浜上陸の図』は横浜の出来事が題材だが、世界的な事件でもある。また色や形に注目すれば、世界共通の楽しみ方も提案できる」と地域色の強い所蔵品を広い視野で捉え、学芸員の経験を生かしての活用を考える。

 「今、コロナでも環境問題でも、身近な問題が実は世界共通の問題ということが増えている。ローカルとグローバルはつながっている、それを美術を通して発信するのが仕事だと思っています」

 新型コロナウイルスを巡っては「『美術館に来てね』と呼び掛けるのが100%いいことだ、との思い込みがひっくり返された」という。だが、私たちの現在の体験が今後、美術作品とのより豊かな対話を生むツールになり、作品から読み取れることが増えると感じている。

 「100年前に世界でスペイン風邪が流行した際も、今とそっくり同じことが起きていた。エゴン・シーレのように亡くなった画家もいる。これからは、もしもある作品の制作年が1918年となっていたら、一見楽しそうな絵の背後に大変な経験があったのでは、などと想像を膨らませることができるでしょう」

 東日本大震災の際も関東大震災を経験した画家の抑えた心情が察せられたという。「体験するということは大きいです」

くらや・みか
 横浜美術館館長。1966年生まれ、千葉県出身。
 女子美大卒、千葉大大学院修了。93年から東京国立近代美術館勤務。2008年同館美術課長、16年同館企画課長。13年「第55回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展」日本館キュレーター(特別表彰)、18年第7回横浜トリエンナーレアーティスティック・ディレクター選考委員会委員。20年4月横浜美術館館長に就任。

記者の一言
 横浜美術館は、7月17日に開幕する現代美術の国際展「ヨコハマトリエンナーレ2020」の会場でもある。「横浜にいながらにして、世界が来てくれるのを楽しめるっていいですよね」と蔵屋さん。海外ではコロナ禍で中止や延期となった芸術祭が多く、世界の先陣を切っての開催で注目されている。同館は来年3月から改修工事のため休館に入るが「開館30周年に寄せられたメッセージに、妻に引きずられて来てみたらはまった、という感想が多くて。日本の人口のみんなが美術を好きになればいいとは思っていないが、好きになるチャンスは逃したくない」と、気軽に入れるように工夫したいという。今後の“蔵屋カラー”が楽しみだ。ヨコトリ中も工事中も、ユーモアのあるすてきなイラストの投稿を期待しています。

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