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【K-person】川瀬賢太郎さん
楽団と共に音楽を深化させたい

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年4月26日(日) 10:00

川瀬賢太郎さん


川瀬賢太郎さん
川瀬賢太郎さん

 音楽と一体となったような、熱を帯びた指揮は、数百年前に作られた楽譜にも新たな命を吹き込み、色鮮やかな世界を見せてくれる。神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者のほか、名古屋フィルハーモニー交響楽団正指揮者も務めるなど同世代の指揮者のトップを走る俊英。楽曲を徹底的に読み込むことでも知られ、神奈川フィルの首席ソロ・コンサートマスター、石田泰尚さんも「本当によく勉強している」と賛辞を贈る。

 「腰を据えて付き合うオーケストラ」ができたことで、音楽への向き合い方が変化したという。「学生の頃はサイモン・ラトルなど憧れの指揮者がいたし、演奏会でも指揮者の動きを気にしていた。指揮というフィルターを通して作品を見ていたんだと思います。でも今は、どうすれば作品そのものを深めていけるか、という目的に集中していて、目指す『指揮者像』もなくなりました」


YouTubeの楽団公式チャンネルではこれまでのコンサートの動画なども見ることができる
YouTubeの楽団公式チャンネルではこれまでのコンサートの動画なども見ることができる

 取材を行ったのは3月5日。同月6日と8日の定期演奏会が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となったが、楽団員の発案により「多くの人に音楽を届けよう」とかながわアートホール(横浜市保土ケ谷区)で演奏動画を収録した日のことだ。

 改めて「神奈川フィルの魅力」について聞くと「今日撮影した動画がすべてを物語っている」と語る。「自分自身、以前は音楽家という目線でしか社会を見たことがなかった。でも、違う世界で仕事をしてきた妻(テレビ朝日アナウンサーの松尾由美子さん)と結婚して、ひとりの社会人として音楽を見るようにもなった。神奈川フィルには両方の視座があり、そのバランスがとてもいい。地域の文化の一端を担っていることを大切にしているメンバーを誇りに思います」とうれしそうな表情を見せた。

 しばらくコンサートが開催できない状況が続くが「芸術を守るための支援をすぐに表明したヨーロッパ諸国と比較すると、日本は文化が守られていないと感じる。だからこそ今、日本の音楽家たちは、音楽が社会に何をもたらすことができるか考えるべきなのかもしれません」

 クラシック音楽は「言葉を尽くしても、言い表せない感情に出合ったときにこそ響くもの」だという。「クラシック音楽が好きになるタイミングが来るのは人それぞれ。いつでも、本物のクラシック音楽に触れる機会を用意しておくことがわれわれの仕事だと思っています」

かわせ・けんたろう
 指揮者。1984年、東京生まれ。2007年、東京音楽大学音楽学部音楽学科作曲指揮専攻(指揮)を卒業。14年から神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者。そのほか名古屋フィルハーモニー交響楽団正指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢常任客演指揮者を務める。15年、渡邉暁雄音楽基金音楽賞、神奈川文化賞未来賞を受賞。16年、齋藤秀雄メモリアル基金賞、出光音楽賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。

記者の一言
 もうすぐ初めてのお子さんが生まれる川瀬さん。取材当日は「カメラを買おうかと思っているんですよ」と同行したカメラマンに相談していた。月1回執筆してもらっているコラムも「育児日記みたいになってしまうかもしれません」と楽しそうに笑う表情に、こちらも幸せな気持ちになる。

 「どんな名前にするか悩む。人とかぶりたくないけどキラキラネームは嫌だし」。愛猫の名前は「フィガロ」だが、やはり音楽にちなんだ名前になるのだろうか? 元気な赤ちゃんの誕生をお祈りしています。

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