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【K-person】前川清さん
正直に生き まっすぐに歌う

K-Person | 神奈川新聞 | 2020年9月13日(日) 14:46

前川清さん

前川清さん

 スポットライトの中にすっと立ち、静かにマイクを構える。ぶれることのないそのたたずまいから生まれるドラマチックな歌声は、聴く者の心を震わせる。

 19日には横浜赤レンガ内のライブレストラン、モーション・ブルー・ヨコハマ(横浜市中区)に登場する。ピアノとコーラスをバックに、名曲をじっくり堪能できるスタイルだ。「ピアノだけを伴奏に、歌が引き立つステージをやってみたかった。歌詞をかみ締めながら丁寧に歌えるし、この曲はこんなことを歌っていたんだなあ、と改めて驚くこともあります」。飾り気のない人柄も愛される理由の一つ。「他人が作った歌だし、意味が分からないな、と思いながら歌っていたこともあるんですよ」と笑う。

 高校を中退後、地元・長崎のキャバレーで歌っていたところをスカウトされてデビューしたが「歌が好きな訳ではなく、仕事と割り切って活動していた」と公言している。「いつか売れなくなるだろうし、ゆくゆくはまっとうな仕事に就かなくてはと思っていた。歌の仕事でやっていくしかないなと思えたのは10年ほど前のこと。特別な発声練習もしていないし、昔と同じ歌い方はできないけれど、それも味と思ってもらえているのはありがたいですね」とひょうひょうと語る。

「Kiyoshi Maekawa Live 2020 ~Coolest Five~」1部は午後4時15分、2部は同7時15分開演(入れ替え制)。全席指定ボックスシート1万2千円など。チケットはモーション・ブルー・ヨコハマ電話045(226)1919

 8月23日には都内の老舗ライブレストラン「コットンクラブ」で、数カ月ぶりに観客の前に立った。「しばらく歌っていなかったから、歌が下手になっちゃいました」と照れくさそうにつぶやくが、サザンオールスターズの桑田佳祐さんも憧れるという、艶と力強さのある歌声は健在だ。「長崎は今日も雨だった」に始まり、ソロとしての作品「雪列車」「ひまわり」などをしっとりと歌い上げ、観客を歌の世界にいざなう。「東京砂漠」「そして、神戸」では緩急を自在に操り、「米軍基地のある町で、ポップスやジャズ、ブルースなど洋楽を聴いて育った」という音楽的ルーツを感じさせた。

 今月16日発売の新曲「歩いて行こう」は息子の紘毅さんが手掛けた曲。前川さんの要望は「ラララという歌詞を歌い出しにすること」だけ。しかしそれだけで、強い印象を残す楽曲になった。「若い人たちは複雑な曲をうまく歌いこなしているけれど、中島みゆきさんの『糸』などはシンプルで、長く愛されている。それはなぜか考えてみたら、と息子に伝えました」と語る表情には、プロフェッショナルとしての厳しさが宿っていた。

まえかわ・きよし
 歌手。1948年長崎県生まれ。68年、内山田洋とクール・ファイブに加わり、69年「長崎は今日も雨だった」でメジャーデビュー。87年からソロ活動を開始。故郷の佐世保では洋楽に触れて育ったことから、2015年にオールディーズのカバーアルバム「My Favorite Songs ~Oldies~」を発表し話題に。16日に新曲「歩いて行こう」を発売。

記者の一言
 港町を舞台にした曲も多く歌っている前川さん。歌声に耳を傾けていると、波間に揺れる船の明かりや、酸いも甘いもかみ分けた男女のシルエットが目に浮かぶ。

 横浜の印象を聞くと「長崎、神戸と同じく、中華街があって坂が多くて…というイメージですね。実は、横浜でコンサートがあっても終わった後すぐ帰宅しちゃうものですから、あまり思い出がないんです、すみません」と正直過ぎるコメント。前川さんの国民的ヒット曲に歌われている、長崎や神戸の人たちがうらやましい。

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