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【1964東京五輪】〜アーカイブズで振り返る神奈川〜
村長日記(15) まるで子どもの世話

連載 | 神奈川新聞 | 2020年10月2日(金) 09:00

 1964年の東京五輪。神奈川には相模湖のカヌー選手村と大磯のヨット選手村が設けられた。神奈川新聞では両村長が日々の出来事をつづった「村長日記」が連載された。五輪イヤーの今年、当時の日付に合わせてこの連載を再び掲載します。海外旅行が一般的でなかった時代、世界各国の五輪選手を迎える緊張や戸惑い、喜びなど臨場感あふれる描写から、1964年と違うもの、変わらないものが見えてきます。

 現代の観点では不適切な表現もありますが、1964年当時の表現、表記をそのまま掲載しています。(※)で適宜編注を入れました。

カヌー競技(カヤック)女子日本代表、岡本敬子選手、大島裕子選手の練習=1964年9月、相模湖町(現在の相模原市緑区)

苦労する部屋割り

相模湖選手村副村長・田中清

 相模湖駅までの複線(※中央線の高尾-相模湖間複線化工事)も二十九日開通し「相模湖行き」電車のダイヤが十月一日から組まれるようになった。与瀬駅(※1956(昭和31)年4月に相模湖駅に改称された)当時のことを思うと、県北の地相模湖町もずいぶん変わった。

 待ちに待った女子選手第一号、ブルガリアのニコリーナ・ルーセバ嬢が二十八日に女子宿舎入り、続いて、オーストリア、イギリスより各一人が入村した。

 女子宿舎の第一夜は吉村さんの日本語のレッスンから始まり「おはよう」「こんにちは」12345の数字の読み方……まことに家庭的なふんいきを作る努力がされている。「変わった食事で一度バーベキューでもやりましょうか」専門職ならではの常に身についた楽しい食生活のあり方を一席。女子選手入村によって活気を帯びてきた女子宿舎の一風景である。

 台風一過秋晴れとはいかず、曇りの日が続いている。相模湖の水はやや濁っているが満水となり、先着の選手たちは午前に午後に監督を中心に練習に励んでいる。

 入村時の第一の苦労と心配は、なんといっても期間中生活の場となる選手たちの部屋割りに始まる。

 
 

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