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時代の正体 差別のないまちへ
ヘイト条例運用部署新設 全面施行へ本腰 川崎市

時代の正体 | 神奈川新聞 | 2020年4月2日(木) 05:00

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の条文
川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の条文

 川崎市は1日、あらゆる差別の根絶を掲げ、ヘイトスピーチに刑事罰を科すことを盛り込んだ「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の運用を担う新たな部署を設置した。差別的言動の調査やその対策、人権侵害の被害者救済など条例に基づく施策を受け持つもので、その実効性を左右する重要な役目を担う。

 市人権・男女共同参画室に「人権尊重のまちづくり担当」を新設。担当課長と係長2人、専門調査員の計4人を配置した。

 罰則対象となるヘイトスピーチの調査、記録をヘイト団体のデモや街宣の現場などで行う。罰則につながる勧告、命令、公表、刑事告発を行う際には、意見聴取する第三者機関「差別防止対策等審査会」に判断材料を提示。そのための情報収集にも当たる。

 条例では、インターネット上のヘイトスピーチに拡散防止措置を講じると明記しており、差別的言動を検索するネットモニタリングにも委託先の民間企業とともに取り組む。ネット上の差別書き込みを含む人権侵害の相談を受け、必要な支援を行うことも義務付けており、関係部署や地方法務局、人権団体などと連携し、被害者の救済を図っていく。広報・啓発事業も担当する。

 同室の池之上健一室長は「今年は条例に基づき具体的な取り組みを始める重要な1年。担当が設けられた分、着実に取り組みを進め、市民に還元していかなければならない」と話す。

 条例に基づく人権施策推進基本計画の策定を諮問する「市人権尊重のまちづくり推進協議会」と、差別防止対策等審査会のメンバーも同日までに決定。月内にも初回の会合を開く。

 新年度の組織改編では外国人市民の一層の増加を見据え、市民生活部に多文化共生推進課も新設。廃止した同室の外国人市民施策担当と同部の交流推進担当の役割を一本化し、外国人市民代表者会議や共生社会の実現に向けた業務に携わる。

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例 全ての市民が差別を受けることなく生き生きと暮らせるまちづくりを掲げ、人種や国籍、性別、性的指向、出身、障害などを理由にしたあらゆる差別的取り扱いを禁じた。公共の場で市長の勧告、命令に従わずにヘイトスピーチを繰り返した人物・団体に最高50万円の罰金刑を科すほか、市が人権侵害の被害者を支援し、インターネット上のヘイトスピーチの拡散防止措置を行うことも定めた。昨年12月に理念や禁止規定などの一部が施行。4月1日からはネット対策などが施行され、ヘイトスピーチの罰則規定は全面施行となる7月1日から適用される。

 
 

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