世界各国で急速にユーザーが増えている画像共有アプリ「インスタグラム」で、葉山町が昨年6月から始めた公式アカウントが人気を集めている。広報力強化のため若手女性職員が発案し、町内の風光明媚(めいび)なスポットやおしゃれなカフェなどの写真を毎日投稿。県内の自治体では例のない試みで、半年間で千人を超すフォロワー(読者)を獲得するなど町の魅力アピールに一役買っている。
海岸から見る夕日、日なたぼっこする猫、小道からのぞく海…。葉山町公式アカウントから投稿された写真では、町のさまざまな風景が切り取られている。フォロワーからは「すてきな光景」「小道散策してみよう」といったコメントが届く。
インスタグラムの活用を進めているのは、同町政策課秘書広報係の高野愛子さん(26)と笠井佐淑さん(25)。広報紙やホームページ、短文投稿サイト「ツイッター」などで発信しているものの、若い世代にあまり情報が届いていない現状があった。
近年「小道のある風景」「おしゃれなカフェ」「豊かな自然の中での生活」といったキーワードが注目されている葉山。そこでスマートフォンで写真を撮影し、簡単に加工や投稿ができるインスタグラムに目をつけた。
高野さんと笠井さんが毎日、町内を撮影して投稿。写真の説明文には、友人とおしゃべりするときのような「軟らかい文章を心掛けている」と笠井さん。町によると全世界で4億人、国内で800万人以上がインスタグラムを利用し、自治体が活用するのは県内で唯一という。葉山町出身者をはじめ町外のフォロワーも多く、半年で1300人を超えている。
ハッシュタグ(検索キーワード)「#葉山歩き」で、町側もフォロワーが独自に撮った葉山の写真を見られる。昨年10月には、町が「オフ会」を開催。写真を投稿した男女が役場に集まり、写真の説明やお気に入りスポットの魅力を語り合った。高野さんは「役場の一方的な発信ではなく、双方向のコミュニケーションにつながっている」と手応えを感じている。
役場ロビーでは26日まで、夕日をテーマに投稿された作品の中から50枚を選んで展示。毎月テーマを変えて写真展を継続していく。高野さんと笠井さんは「今後は動画も投稿していきたい」と意気込み、多くの人の参加を呼び掛けている。