川崎市は6月から、多摩区などを流れる1級河川、多摩川水系・五反田川の洪水対策を強化し、増水した川の水を地下施設にためる運用を始めた。多摩川に通じる形で整備中の放水路(延長2・15キロ)を暫定的にタンクとして活用。豪雨時は最大で13万立方メートル(25メートルプール約360杯分)を受け入れ、氾濫を防ぐ。同月6日の局地的な豪雨の際に使われ、水位を低下させた。
活用する放水路は、五反田川からの分流部が同市多摩区生田8丁目にあり、地下トンネルを経由して同区登戸新町の放流部で多摩川につながっている。
もともとは2023年度に運用を開始する予定で、機械類や電気系統などは未整備の状態だが、分流部から深さ約60メートルの地下へ向かう立て坑やトンネル部分は既に完成済み。水を流し込むことは可能なため、洪水時のタンクとして活用することにした。
五反田川の水位が2・74メートル以上になると放水路に流れ込むようにしており、市北部を中心とした6日夜の豪雨では約1100立方メートルが流入した。本来の機能である多摩川への放水は行わずにためておき、五反田川の水位が低下した後にポンプでくみ上げたという。