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新型コロナ
死者情報公表どこまで 基準なく、自治体でばらつき

社会 | 神奈川新聞 | 2020年6月1日(月) 09:57

マスク(イメージ)

 新型コロナウイルスで亡くなった死者の公表内容が県や政令市、保健所設置市ごとに異なっている。年代や性別とともに感染判明時の情報を加える保健所もあれば、「死亡」という事実しか公表しない例もある。一部では公表内容を見直す動きもあり、現場の当惑も透ける。

特集 新型コロナ、神奈川の感染状況

 県内の死者は5月31日現在で86人。新たな患者が判明したり、死亡したりした場合は県と、横浜、川崎、相模原の3政令市、保健所設置市の横須賀、藤沢、茅ケ崎(寒川町も所管)各市が発表している。感染者情報の公表は蔓延(まんえん)防止と予防が目的で厚生労働省の基準があるが、死亡時の定めはない。それが公表内容のばらつきにつながっている。

 県内で初めて死者が確認されたのは2月13日。県は性別と年代を公表したが、居住地などは個人情報保護を理由に明らかにしなかった。また、3月9日に発表された2例目の死者は、死亡という事実のみの公表にとどめた。黒岩祐治知事は同日の会見で「遺族の意向」と説明。その後も同じ理由で死者の経過などを公表しないケースが複数あるが、県は「亡くなった方が感染を広げる心配はない。そのため重要なのは遺族の意向になる」と説明する。

 川崎市は、死者について市内で何例目の患者かを明示し、感染判明時の公表情報と合わせて経過などが分かるようにしている。同市は「市民を心配させないため」として、初の感染者が確認された段階から居住する区名を公表。死者の対応も同様の考え方で、遺族が反対した例はないという。

 横浜市も、感染発表時の公表情報と関連させた形で発表。死者は県内で最多の40人に上るが、遺族の意向として1例だけ年代のみ非公表とした。相模原市では3月、クラスター(感染者集団)が発生した病院の患者3人が死亡。いずれも経過を含めて公表し、「公表に対する遺族の反対もなかった」という。

 公表内容を再検討したのは横須賀市。5月11日に初の死者を発表した際には遺族の意向で年代と性別のみにとどめたが、「他市の対応なども参考にした」として範囲の拡大を検討中。茅ケ崎市は5月、市内で初めて患者が死亡し、当初はいつ感染が判明した患者かという情報も公表を検討したが、見送った。死亡者の職業や経過などは勤務先だった県警が回答した。藤沢市は5月22日に初の死者が確認され、年代と性別、死亡日を発表。今後は遺族の了解があれば「状況に応じて報道機関に説明することも考えられる」とする。

 死者の感染経過などについては、市民からの問い合わせもあるといい、自治体からは「感染者と同様に公表の範囲が定められていればいいのだが」との声も漏れる。厚生労働省は「感染者情報の公表は蔓延防止と予防が目的。死者の場合、公衆衛生上の意義が極めて少ないため公表基準はなく、遺族の同意の範囲でと考えている」としている。

 
 

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