新型コロナウイルスの感染拡大で、三浦市内に50軒以上ある民宿が廃業危機にさらされている。外出自粛にもかかわらず海岸沿いが県外ナンバー車で混雑することが問題になる中、その“恩恵”はほとんどなく「キャンセルが続き毎日地獄」と悲痛な声が上がる。多くが小規模な家族経営だが、県の休業要請施設の対象外である宿泊施設は協力金も受けられない。それでも感染予防のため、自主的に来客を泣く泣く断る宿は「正解がない」と疲弊しきっている。
3、4カ月で…
「持ちこたえられるのはせいぜい3、4カ月くらいかもしれない」
三浦半島西側の諸磯湾を望む「民宿でぐち荘」で、出口悟社長(44)が苦悩していた。
例年、歓送迎会でにぎわう3~4月の宴会が全てキャンセルされ、今月はほぼ来客なし。ゴールデンウイークの予約も全て消えた。少年野球の合宿予約がある夏も、どうなるのかまったく見通せない。
母ほのえさん(73)らが約45年前に始めた木造2階建ての民宿。マグロやアワビ料理を売りに、地元からも愛されてきた。従業員給与を除いてもローン返済や維持管理費で月約60万円の支出があるが、出口社長は「週末だけ営業し、平日は働きに出ることも考えないと」と歯を食いしばり、いつでも客を迎えられるよう清掃は欠かさない。