「障害者は生きている価値がない」-。逮捕後にそう供述したとされる彼(被告)の言葉が、単純に恐ろしかった。彼は殺す側で、障害がある私は明らかに殺される側だからです。
人の生命、身体に価値の格差を付ける考え方が優生思想です。こうした優生思想は決して彼特有のものではありません。障害者を劣った存在と見なすことは社会にまん延しています。
私は1歳4カ月の時に、当時大流行していた小児まひ(ポリオ)にかかりました。高熱が3日間続き、熱がひいたら全身がだらんと動かなくなり、体幹の変形と歩行不能という後遺症が残りました。
1961年に旧ソ連などで開発されたポリオワクチンが日本に導入され、日本ではポリオの発症が劇的に減りました。私は子どもながらに自分が社会から取り残されたと感じ、自分のような障害児がもういなくなることに漠然とした恐ろしさを覚えました。