「だいたい順調だ。日本政府の支援に感謝したい」
2007年6月、来日した米海軍制服組トップ、作戦部長のマイケル・マレン大将は、表敬訪問した防衛相の久間章生に、原子力空母配備に関する日本側の取り組みに謝意を述べた。久間も「地元に受け入れられるような雰囲気をつくっていきたい」と応じた。
横須賀では、原子力空母の接岸する12号バースのしゅんせつに向けた準備が本格化していた。市民グループは7月、工事差し止めを求める訴えを横浜地裁横須賀支部に起こすが、28億円を充てたしゅんせつ作業は、8月に着工した。
11月には、軽微な放射能漏れ事故を想定した日米合同訓練が、横須賀で初めて開かれた。米国内も含め、米軍が自治体と原子力艦船を発生源とした防災訓練をするのは異例といえた。横須賀では2001年から毎年、原子力事故を想定した防災訓練を続けてきているが、米軍は「事故の可能性は低い」ことを理由に、電話連絡のみの参加にとどまっていたからだ。
「横須賀市とは特別な関係を築きたい」(ケリー司令官)として姿勢を変えた米軍だったが、あくまで「人体に影響のないという事故想定での訓練」を市に求めた。共同での初動態勢確立を最優先させたい市は、要請を受け入れた。住民の避難訓練は実施されないシナリオが描かれ、訓練を市が市民に伝える際にも、米軍は「市民生活に影響がない」ことを強調するよう求めた。
「訓練は米軍が主導しすぎという感じ。本当に事故が起きたとき大丈夫なのか」。見学していた市民からは、そんな不安が漏れた。だがケリーは「原子力艦は60年、無事故。訓練の想定は極めて現実的だ」と、胸を張った。
「住民投票で是非を」否決
新たに横須賀に配備される空母ジョージ・ワシントンが…