「暴力受けていた」供述
同居の父親(47)を殺害したとして、神奈川署は25日、殺人の疑いで、横浜市神奈川区に住む高校2年の少年(16)を逮捕した。調べに対し、少年は「殺意を持って父親を刺した」と容疑を認め、「父親から暴力を受けていた」などと供述している。
県警によると、少年は父親と2人暮らし。少年は昨年11月と今年2月、当時住んでいた相模原市の相模原署に「父親から暴力を振るわれた」との趣旨の相談をしていた。父親は暴力を否定し、少年にも目立った外傷はなかったというが、県警は虐待の恐れもあるとして市児童相談所に通告し、児相が2回、少年を一時保護していた。その後、横浜市神奈川区に引っ越していた。
逮捕容疑は、5月16日ごろ、同区の自宅マンションで、父親の頭などを果物ナイフのようなもので数回刺すなどして殺害した、としている。
県警によると、25日午後2時ごろ、県外に住む父親の姉から「弟と連絡が取れない」と神奈川署の交番に連絡があった。マンションに駆け付けた署員がエントランスのインターホンを押したところ、降りてきた少年が父親を殺害したと説明。水を張った浴槽内で、父親の遺体が見つかった。凶器とみられる果物ナイフも浴室内にあった。
少年が通う県内の高校は新型コロナウイルスの影響で休校中だったという。
虐待疑い 情報引き継がず
父親による虐待の疑いがあるとして、2度にわたり少年を一時保護していた相模原市児童相談所は、父子が引っ越した後、転居先の横浜市に情報を引き継いでいなかった。最後に少年に会ったのは2月中旬で、父子と接触できないまま事態は最悪の展開を迎えた。