橋本聖子男女共同参画担当相が今月、選択的夫婦別姓の導入に向けた議論に取り組む方針を示した。一方で菅義偉首相は就任前の9月に慎重な検討が必要との立場を示しており、菅政権がこの問題に本気で取り組むのかはまだ不透明な部分もある。「女性活躍以前に、男女の不平等解消のために選択的夫婦別姓導入は不可欠」と活動する選択的夫婦別姓・全国陳情アクションで事務局長を務める井田奈穂さん(45)=東京都中野区、会社員=は、改姓で仕事上での不利益を被った多くの女性たちの思いを代弁する。菅政権への期待と同時に、井田さん自身の経験をたどりながら、選択的夫婦別姓について考える。
橋本氏は今月9日の記者会見で「国民がどう望んでいるのか前向きに検討することは、非常に前進だと感じてもらえる」と述べ、導入に向けて議論することを表明した。パブリックコメント(意見公募)などで多くの要望が寄せられていたことにも言及。井田さんは、こうした動きを歓迎する。
「当事者の声が力になった。これまでは何回国会に請願を出しても、どんなに署名が集まっても、議論すらタブー視されていた。すぐに法改正に進む意味合いでなくても、議論をすべきという方針を大臣が示したということは前進だ。今後も当事者の声を届け、理解してもらうことに尽きる」