2020年東京五輪で江の島(藤沢市)を会場に開催されるセーリング競技やヨットの魅力を幅広い世代に知ってもらおうと、県は16年度からヨット振興事業に乗り出す。手始めに「史上最大のヨットフェスティバル」と銘打った3日間連続イベントの開催を目指す。欧米からのインバウンド(訪日外国人客)の需要喚起も視野に入れる。事業費700万円を15年度補正予算案に計上した。
ヨット係留施設となる県内16マリーナでつくる「日本マリーナ・ビーチ協会神奈川支部」と県が実行委員会を組織し、フェスを開催する。船艇の製造・販売業者や民間のヨットスクールなどとも連携する。
フェスでは、小型から超大型までの各種ヨットやボートで相模湾をクルージングする体験試乗会を実施。初心者からトップ競技者までの各クラスのレースも開き、魅力をアピールする。海洋学などの専門家を招いての家族向け海洋教室やシーカヤック体験、湘南ゆかりの著名人のライブやトークショーも開くという。
ヨットやボート業界はバブル崩壊後に低迷し、ヨット所有者の高齢化などの課題も抱える。同協会神奈川支部の熊澤喜一郎支部長は五輪をヨット人口の裾野を広げる好機とみて「まずは乗って、好きになってもらいたい。業界としても五輪は最後のチャンスだ。県とともに盛り上げたい」と話している。
日本のヨット発祥の地でもある神奈川では、1964年東京五輪のヨット競技が江の島で行われた。ただ県が昨年に実施した県民ニーズ調査で「マリンスポーツをやったことがあるか」との問いに「ない」とした回答が55・4%、「やってみたいマリンスポーツはあるか」には「特にない・やりたいと思わない」が37・4%に上った。理由には「機会がない」が30・1%、「費用がかかる」が24・9%、「難しそう」が14・3%などとなっていた。
セーリング身近に 藤沢で講演・乗船体験
セーリング競技を身近に感じてもらおうと、県は3月5日、藤沢市のテラスモール湘南でセーリング体験イベントを開く。「見て、触れて、乗れる」をキーワードに、セーリング競技艇の展示や五輪メダリストによる講演などを予定している。
イベントではバーチャルリアリティー(仮想現実)の技術を使い、海で走る迫力を体験できる「バーチャルセーリング」や、実際に陸置きしたヨットへの乗船ができる。
2004年のアテネ五輪セーリング男子470級で銅メダルに輝いた関一人さんがセーリング競技の魅力や五輪について語る。元ミス鎌倉で大食いタレントの桝渕祥与さんや、大道芸人らもイベントに出演し、花を添える。
午前10時から午後5時まで。問い合わせは、県政策局オリンピック・パラリンピック担当電話045(210)3027。