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白寿の手習いiPad 横浜の肥田さん自伝

話題 | 神奈川新聞 | 2016年11月7日(月) 02:00

自伝制作アプリの操作方法を説明する肥田さん=鎌倉市大船のコンサポート大船教室
自伝制作アプリの操作方法を説明する肥田さん=鎌倉市大船のコンサポート大船教室

自伝制作アプリの操作方法を説明する肥田さん=鎌倉市大船のコンサポート大船教室
自伝制作アプリの操作方法を説明する肥田さん=鎌倉市大船のコンサポート大船教室

 数え年で白寿を迎えた横浜市栄区の男性が、iPad(アイパッド)を駆使して自伝を完成させた。肥田一郎さん(98)が2年がかりで仕上げたのは、上下巻計約550ページにも及ぶ大作だ。写真をふんだんに盛り込み、関東大震災被災や日中戦争で九死に一生を得た経験など、近代日本の激動期とともに歩んだ半生を紹介している。

 肥田さんは85歳で妻を亡くした後、「認知症の予防に」と鎌倉市のパソコン教室に通い始めた。腕前はぐんぐんと上達し、制作した動画が発表会で表彰されるほどになった。iPadはタッチパネルの反応が敏感で苦労したが、「先生に褒められて続けるうちに面白くなってきた」と言う。

 自伝を作り始めたのは2年前。教室で紹介された制作アプリに興味を持ち、「自分がどんな生活をしてきたか、子や孫に残したい」と執筆を始めた。ページ右側に写真、左側にそれに合わせた文章を書き入れていく。幼少時の家族写真から勤務した保険会社の同僚らとの写真、近年の旅先で撮ったものまで約千枚に、記憶を頼りに文章を添えていった。


肥田さんが作成した自伝「白寿を迎えて」
肥田さんが作成した自伝「白寿を迎えて」

 「関東大震災の時のことも鮮明に覚えているんだよね。揺れを感じて家から飛び出したら、屋根の瓦が落ちていてね」と事もなげに振り返る。「(自伝を)作っている間は、テレビも見ずにずっとやっていたよ。充実していたね」。2冊に収まるよう分量を減らすのに苦労したという。

 1世紀近くにわたる半生をまとめた自伝は、誕生日の今年6月9日に合わせ完成させた。戦時中の中国で行軍中に狙撃され、銃弾が顔面を貫通したが、奇跡的に一命を取り留めた肥田さん。「生死を分ける出来事が4度あった。よくぞこの年まで生きていたなあ」と感慨深げだ。

 「100歳は目標にしたい。次に何か集中して取り組めることを見つけないと」。教室に通い始めて10年余り。そのチャレンジ精神は尽きることがない。

 
 

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