横浜市は28日、5区画計7街区で公募していたみなとみらい21(MM21)地区内の三つの街区の開発事業予定者を清水建設(東京都中央区)の賃貸オフィスビル建設、京浜急行電鉄(東京都港区)の本社建設、横浜アンパンマンこどもミュージアム&モールの地区内移転に決めたと発表した。7街区の同時公募は近年最大規模。林文子市長は「都心臨海部全体に大きな波及効果を生み出すと確信している」とコメントした。
市によると、提案数が1件だった54街区は賃貸オフィスビル(地上18階、延べ床面積約10万1千平方メートル)を新設する清水建設に決定。2017年7月着工、20年2月完成予定。安定的運営が期待できるほか、エリアマネジメント活動などへの取り組み姿勢を評価した。
56-1街区では2件の提案があり、京急電鉄の本社(地上15階・地下2階、延べ床面積約2万3千平方メートル)新設を採用。17年4月着工、19年3月完成予定。1階に(仮称)京急ミュージアムを設置する。グループ企業の集約などで地域経済への波及効果が高いほか、公共交通機関の司令塔として安定的と判断した。
60~62街区では、3提案の中から横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール移転プロジェクト(代表企業・日本テレビ音楽)に決めた。61街区の一部(約6千平方メートル)を30年の定期借地とし、地上4階の施設(延べ床面積約1万1千平方メートル)を建てる。17年8月着工、19年4月オープン。48街区からの移転で、国内外からの多くの集客が期待できると評価した。
提案のなかった53、55-1街区は16年度早期に再公募し、60~62街区の残部分は16年度中の再公募を目指すとしている。
高度成長期に「六大事業」の一つとして発意されたMM21地区の開発はバブル崩壊、リーマン・ショックの影響で企業進出が停滞。暫定利用や街区細分化などで苦しい時期をしのいできただけに、計6件の提案があった公募結果に市の担当者は「喜ばしい。複数街区での競合は何年ぶりか」と驚きを隠さない。
今回公募した新高島駅周辺の街区は横浜駅に近く、「最後に残った一番価値の高い区域」。歩行者動線の重要な結節点でもあることから、市の担当者は「さらに他企業の進出意欲が高まるようなまちづくりを進めたい」と話している。
国際都市に新たな風 京急本社、MM移転決定
京浜地区や三浦半島を地盤とし、路線の7割が県内を走る京浜急行電鉄(東京都)が、名実ともに県内企業となる。横浜市が28日に発表したみなとみらい21(MM21)地区56-1街区(西区高島1丁目)の開発事業予定者として、本社移転を掲げていた同社を正式決定したからだ。19年秋には新社屋の稼働開始を見込む。公共交通を担う同社は長期的な安定成長が見込め、横浜をはじめ県内経済への好影響が期待されている。
京急新本社「京急グループ本社ビル(仮称)」は、日産自動車(同区)のほぼ向かいに位置する同街区、約3640平方メートルに建設予定。