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「無理させる状況変えたい」 働きやすい議会を

選挙 | 神奈川新聞 | 2019年3月30日(土) 19:56

二宮町議の露木佳代さん。同町議会では議場外にテーブルやモニターが置かれ、議会の様子が見られる=同町役場
二宮町議の露木佳代さん。同町議会では議場外にテーブルやモニターが置かれ、議会の様子が見られる=同町役場

 一昨年の11月、熊本市議の女性が生後7カ月の長男を抱いて議場に入ったことが大きな話題となった。当時職場に子どもを連れて行くことの是非を巡り、議論は過熱したが、物議を醸した本人の狙いはそこだけではなかったという。

 仕事と子育ての両立がいかに困難か。緒方夕佳さん(43)はその可視化が目的だったとも明かす。

 議会事務局の職員らに子どもの退室を求められ、押し問答の末、緒方さんは友人に長男を預け、本会議が約40分遅れで開始された。後に厳重注意を受けたが、両立を阻む壁をあらためて実感したと振り返る。

無理強い

 緒方さんは横浜市南区生まれ。国連開発計画(UNDP)などでの勤務を経て長女の出産を機に2015年4月、高校卒業まで過ごした熊本で市議選へ出馬した。

 当選後、育休がないことや、任期中に妊娠、出産を経験した議員がこれまで同市議会にいないことを知った。そこで若い女性が議員になろうと思う環境を少しでも整えようと、育児中の議員が利用できる託児室の設置などを要望したが、いずれも却下された。

 「子育て世代や介護、病気療養している人が、そうでない人と同じように働くことは無理。なのに、その『無理』を個人に無理させて働かせている。この状況を何とかしたい」。議場に長男を伴った背景には、そんな思いがある。

 全国の女性地方議員を対象にした内閣府による17年の調査は女性議員が少ない原因を複数回答で尋ねているが、「議員活動と家庭の両立が難しい」との回答が8割近くに上っている。

 国会や地方議会の議員は労働基準法や育児・介護休業法が適用されず、各議会が定める「規則」で対応するか、各議会の運用に委ねられる。かつて産休を巡っては地方議会に明文規定がなかったため、産休を「事故」と届け出ることが問題視された。

 県内では今、県議会と31市町村議会が産休に関して明文化しており、明文規定のない横須賀市、湯河原町の議会も運用で認めている。しかし性別を問わず、育休や介護休の明文規定がある議会は全国でも一部にとどまる。

共助の心

 昨年11月に改選され、定数14のうち女性議員が6人を占める二宮町議会。同町議で現在2期目の露木佳代さん(42)は「働きづらいと感じたことはない」と言い切る。

 議場には子どもの出入りがごく自然にある。傍聴席には乳児らを連れている町民が多く見られ、子どもが原因で進行が滞ったことは「これまでない」という。議場外でもモニター越しに弁当を食べながら傍聴する親子の姿がある。

 露木さんは、いずれも小学校に通う3児の母。夏休み期間などは委員会室で子どもを同伴して仕事をするが、同僚議員から嫌な顔をされたことはない。夕方まで作業が終わらなかった時には、当時の議長ら男性議員が代わりに子どもを幼稚園まで迎えにいったこともある。

 「男性を巻き込むことで育児の大変さや町の課題が実感として理解してもらえる」という露木さんは、平均年齢が60歳に近い議会にあって最年少。「多様な人、世代が議会にいることは大事」と経験を踏まえて話す。

 一方、緒方さんは2期目を目指し、今春の統一地方選である熊本市議選への出馬を予定している。議場に長男を同伴したことは多くの反響を呼んだ。応援する内容も、批判する内容もあったが、緒方さんはこう受け止めている。
 「育児と仕事の両立について意識を向けるきっかけになり、行動して良かったと思っている。いろいろな人が行動することで少しずつ社会は良い方向に変わっていく」

 =おわり(この連載は、神山哲、岩﨑千晶、佐藤百合、松島佳子が担当しました)


 神奈川新聞は「#MeToo#YouToo」(「私もあなたも」の意)と題した企画を通し、全ての人の尊厳が守られる社会について考えていきます。企画への意見や感想、情報はメール(metoo-youtoo@kanagawa-np.co.jp)で。

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