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【町政課題】真鶴町長選<上>人口減 伝統継承に危機感も

選挙 | 神奈川新聞 | 2016年9月9日(金) 02:00

人口減少に直面する真鶴町。駅前でも平日の日中ともなれば、人影はまばらだ =JR真鶴駅
人口減少に直面する真鶴町。駅前でも平日の日中ともなれば、人影はまばらだ =JR真鶴駅

 「町の広報紙で、その月に亡くなった方が出生数を上回るのを見た時に人口減を感じる」「人が出て行く一方。戻ってくることはない。私の息子もそう」。場面はさまざまだが、町民の中で人口減の認識は共通している。

 真鶴町の人口は1965~70年ごろの約1万300人をピークに減少傾向をたどる。2014年には民間有識者会議「日本創成会議」の分科会から「消滅可能性都市」として名指しされた。

 今年9月1日現在の人口は7586人。町が策定した町の将来人口の展望を表す「人口ビジョン」によると、合計特殊出生率を10年の1・17から段階的に引き上げ、60年に2・07としても、半減以下の約3450人になると試算する。

 町も手をこまねいているわけではない。対策の一つが「お試し居住」だ。寄付を受けた空き家を活用。町への移住検討者を対象に一定期間、割安料金で貸し出す。

 町職員や町民によるプロジェクトチームが企画し、15年度に試験的に実施。県内外から計5組が利用し、1組が移住を決めた。本年度からは町事業となり、9月下旬に募集する予定だ。

 このほか町は人口減対策を盛り込んだ「総合戦略」(15~19年度)の中で、雇用創出を目的に地場産業・商品のブランディングなどを挙げている。

 ただ、問題は単に住民の数が減っただけではない。

 「子どもは減って、お年寄りばかりになった」。真鶴地区の50代男性は人口減に加え、少子高齢化の現状を指摘する。県年齢別人口統計調査によると、15年1月1日現在の町の高齢化率は37・7%と、県内で最も高い。

 一方、少子化の影響は教育現場などに表れている。町教育委員会によると、町内の小学校は04年度末に2校が統廃合して現在1校。新校初年度となる05年度の児童数417人と比べ本年度は218人と半減した。

 真鶴地区の3児の母親は「子どもが減り、クラス替えがなくなれば、いじめが起きた時に逃げ場がなくなる」と心配する。

 子ども会の減少という問題にも直面している。10年前には町内に九つあった子ども会が現在は三つになった。

 こうした現状は町で行われる日本三大船祭りの一つ「貴船まつり」にも影を落とす。同まつり神輿(みこし)保存会の40代男性は「子ども会では太鼓を練習したりする。会がなくなることで継承が難しくなる。実際にまつりに参加する子どもたちも減っている」と地域の伝統文化の継承を危ぶむ。
 

 任期満了に伴う真鶴町長選は11日の投開票に向け、熱い選挙戦が展開されている。町が解決すべき課題は何か、点検した。

 
 

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