銘菓「ハーバー」を復活させて15年。プロスポーツやアニメなどとさまざまなコラボレーションを展開しつつ、横浜土産に欠かせない定番商品として順調に生産数を増やしているありあけ(横浜市中区)の藤木久三会長(75)に、今後の事業戦略や目標を聞いた。
-どのような事業戦略を立てているか。
「ありあけの根幹はハーバーそのもの。ハーバーは『横浜を代表するお土産』という位置づけにあり、横浜カラーを強烈に打ち出していこうと思っている。2019年のラグビーワールドカップ、20年の東京五輪・パラリンピックなど、横浜や首都圏で国内外の観光客をお呼びするイベントが相次いで開催される。横浜の良さを私たちのお菓子を通じて伝える役割を務めたい」
「そのためには横浜で展開される地域色豊かなイベントに積極的に参画し、投資をする。商品を単に売るのではなく、横浜の素晴らしさを感じてもらえる『コト』を加えながらお客さまに感動を提供する。このことに重点的に取り組む」
-具体的には。
「例えば行政との連携。来春開催される『全国都市緑化よこはまフェア』にからめて、バラを切り口にした商品の企画を進めている。地元のプロスポーツチームとの協力もその一環。横浜DeNAベイスターズと横浜F・マリノスの限定パッケージハーバーを発売した。地元とのコラボを進め、観光客の皆さんにありあけの味とともに横浜を発信していきたい」
-菓子業界の現状と自社の強み、また、心掛けていることは。
「以前よりも大手が土産市場に参入してきており、競争は激化していくとみている。ハーバーの生産個数は年間1650万個。おかげさまで毎年10%ほど増えている。お盆や帰省の時期は売り上げが通常の4~5倍になる。横浜土産として定着している強みを生かしつつ、喜ばれるパッケージづくりなど工夫を重ね、他社との差別化を図る」
「たっぷりのブルーベリー粒を包んだハーバーを6月に発売したが、健康ブームを意識し、糖分に気を使うなど安心して食べられる製品に仕上げたところ予想以上の反響があった。特に女性の支持が高い。世の中のトレンドには常にアンテナを張っていく」
-今後の目標は。
「『横浜はインバウンド需要が弱い』というがそうも言っていられない。例えば横浜と友好都市の中国・上海とコラボした商品を手掛けるなど、海外展開のステージを若い人たちに用意したい。今はインターネットの時代。SNSを含め販路拡大にも力を入れていく」
ふじき・ひさかず 1941年生まれ。60年、日本コロムビアへ入り、社会人野球の選手として活躍。退団後、会社員などを経て94年に菓子製造・卸売りのプレシア創業。2000年「ハーバー復活実行委員会」を立ち上げ、ありあけを設立。横浜市在住。