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【動画】障害者に楽しい移動手段を 1人用四輪駆動車WHILL

経済 | 神奈川新聞 | 2015年11月8日(日) 03:00

8日まで試乗が行われている東京モーターショーの出展ブース=10月31日、東京ビッグサイト
8日まで試乗が行われている東京モーターショーの出展ブース=10月31日、東京ビッグサイト

 横浜市鶴見区のベンチャー企業「WHILL(ウィル)」が開発を手掛けたパーソナルモビリティー(1人乗り移動機器)が今月、グッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)の2015年度グッドデザイン大賞に輝いた。障害者の移動手段に光を当てたプロジェクトは今や、バリアフリーの概念を超え「楽しい移動手段」として異業種からも視線が注ぐ。

 4日に3658件から大賞に選ばれた同社の「WHILL Model A」は、昨年9月の発売以来、日米両国で約350台を受注。障害の程度や体形などに合わせオーダーメード生産を行っている。8日まで開催中の東京モーターショーにも出展している。

 一見、スタイリッシュな電動車いすだが、実は小さな前輪タイヤが付いた四輪駆動車。「外出を妨げるちょっとした段差」(同社)を克服するためで、7・5センチの段差も乗り越えられる。マウスのようなコントローラーで操るという直感的な操作を採用し、使いやすさを追求した。

 安定した乗り心地と機能性の高さのかぎは、前輪タイヤにある。一つの車輪に大小24個のローラーを互い違いの方向に組み合わせた特殊タイヤを採用。その場で方向転換でき、小回りも利く。従来の車いすが苦手とした砂場や砂利道での走破性も大幅に向上した。

 「100メートル先のコンビニに行くのを諦める」。同社の杉江理(さとし)最高経営責任者(CEO)の知人である車いす利用者が発した一言が、開発のきっかけだった。「車いすにもたれがちなネガティブなイメージをしのぐ楽しい乗り物を作りたい」と、11年の東京モーターショーで試作機を披露。翌年には三輪タイプの1号機を完成させ、正式に法人化した。車いす利用者や医療・福祉関係者ら約千人の声を基に検証と改良を重ね、量産化した。

 受賞ではこうした経緯に加え、近未来的な形でありながら利用者目線で丁寧に作り込んだ点が高く評価された。杉江CEOは受賞に「ヒト、モノ、カネ、すべての面で苦労したが、利用者の喜びを第一に取り組んだ。機能もデザインの一つと捉えた」と振り返った。

 8月には横浜・みなとみらい21(MM21)、新港両地区の商業施設と観光施設を「model A」で結ぶ実証実験をNTTドコモなどと協力して実施。さらに若者に人気のアパレルショップでは東京モーターショー開催期間に合わせ、限定色モデルが店頭展示された。大手航空会社は、ツアー行程に同社製品体験を盛り込んだプランを発表。杉江CEOは「楽しい移動手段としてシェアリングサービスにも販路を広げたい」と今後の事業展開に意欲的だ。

 価格は99万5千円(送料別)。問い合わせは、WHILL電話045(633)1471。

 
 

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