自動車部品メーカー「ヨロズ」 志藤昭彦会長
日産自動車(横浜市西区)から資本関係を絶たれ、さらに20%削減という原価低減も求められるなど抜本的な経営改革が迫られたサスペンション部品大手のヨロズ(同市港北区)。存亡を懸けた難局を乗り越え、売上高も右肩上がりとなった直後の2008年、世界的金融危機「リーマン・ショック」が襲ってきた。そして目下、新型コロナウイルス感染症の影響が直撃する。志藤昭彦会長は経営改革に取り組み続けることができる強靱(きょうじん)な企業体質について語った。
見える化
順調に成長しているときには経営改革に取り組めないものです。むしろ危機的状況だからこそ断行できる。リーマン・ショックの08年、当初の業績予想で7億円の営業赤字を計上しました。
私はこの金融危機を千載一遇のチャンスと捉えて「緊急収益改善計画」に取り組むことにしたのです。
実践したのは「出(いず)るを制す」です。徹底的に支出を減らしていく戦略によって生き残りを懸けました。
本来、最大の効率を追求すれば、おのずと最少コストとなるはずです。ところが実際には、それほどコストが削減できない場合もある。そこで、いくらコストが下がったか徹底的に見える化しました。
海外展開
米国の2拠点を閉鎖し、テネシー工場に集約することを決断しました。一時的には集約のコストがかさみますが、操業を続けていたら赤字を垂れ流してしまう。結果的には稼働率が高まり効率が上がりました。
さらにヨロズの歴史に残る大きな決断に踏み切りました。
神奈川政経懇講演から(下) 改革続ける強靭体質
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「厳しい経営環境に置かれたときこそ経営改革ができる」と話すヨロズの志藤昭彦会長=9月30日午後、横浜市中区のホテルニューグランド [写真番号:370983]