県内の主な自動車部品メーカー5社が1日までに公表した2021年3月期の連結業績予想は、発表を見送ったプレス工業(川崎市川崎区)を除いた4社が減収減益となった。うち3社は営業損益、純損益ともに赤字が避けられない見通し。取引先企業の経営改革に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が直撃し、08年のリーマン・ショックを超える激しい経営難に直面している。
最終赤字額は、自動車用プレス部品大手のユニプレス(横浜市港北区)は110億円、内装部品大手の河西工業(寒川町)は118億円を見込み、ともに過去最大の赤字となる見通し。自動車用サスペンション部品大手のヨロズ(横浜市港北区)も40億円の最終赤字を見込む。3社とも2期連続の赤字が避けられない見通しだ。
河西工業は厳しい業績見通しを踏まえ8月28日、国内の従業員を対象に300人規模で早期退職者を募集すると発表した。約2千人の従業員のうち15%程度に当たる。早期の業績回復に向けて抜本的な事業構造改革に着手する方針も決定した。退職金などを含む費用は特別損失として今後、通期決算に盛り込むため、21年3月期の最終損失はさらに拡大する見込みだ。
プレス工業は8月6日に21年3月期上半期の業績予想を公表。売上高は前年同期比36・5%減の668億円、営業損益は29億円の赤字、純損益も27億円の赤字を見込んでいる。「現時点では下半期の事業環境見通しが不透明」としている。
プラスチック部品のニフコ(横須賀市)は黒字見通しだが、最終利益を前期比50・9%減の90億円と見込む。
完成車メーカーの生産は4~6月期を底に回復しつつあり、県内部品メーカーも足並みを合わせて下期にかけてじわり増産に転じる計画だが、そのペースは鈍く、上期の激しい減収減益を補うことは難しそうだ。