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町田市立国際版画美術館
山の版画家の内面に迫る 「畦地梅太郎 わたしの山男」展

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年9月12日(木) 11:52

代表的な「山男」シリーズが並ぶ一角=町田市立国際版画美術館
代表的な「山男」シリーズが並ぶ一角=町田市立国際版画美術館

 「山の版画家」と呼ばれる畦地梅太郎(あぜち・うめたろう、1902~99年)の木版画を中心に約100点が並ぶ「畦地梅太郎 わたしの山男」展が、町田市立国際版画美術館(同市原町田)で開催中だ。畦地の心情を託した「山男」を通して、その内面に迫っている。

 愛媛県の農村に生まれ、16歳で家を出て働き始めた畦地。20歳で画家になる決意をし、通信教育で絵を学んだ。25歳で版画家の道に入り、浅間山など山をテーマにした写実的な作風で、高く評価された。

 だが50歳を境に、画風ががらりと変わる。素朴な風貌の山男が登場し、画面中央で正面向きに描かれる。背景や顔、衣服などを平らな面として表現し、木版画ならではの味わいが漂う。


畦地梅太郎「鳥と親子」(1972年、町田市立国際版画美術館蔵)
畦地梅太郎「鳥と親子」(1972年、町田市立国際版画美術館蔵)

 一変した理由について、畦地は「単なる山の景色を描くことのむなしさを思うようになり」とつづる。「真実山そのものの好きな山男を版画に作るようになった」。それは「わたしの心の山男である」という。

 しま模様の雷鳥と一緒にいる山男からは、大自然の中で心寄せる存在への温かなまなざしが感じられる。カップを手にした山男は、つかの間の休憩に緊張を解きほっとしているようだ。

 畦地は76年、74歳で町田市鶴川に移り住む。山小屋風のアトリエを構え、同館が開設準備中だった83年に約300点の自作を寄贈した。アトリエは現在「あとりえ・う」として公開中だ。

 同館の高野詩織学芸員は「確立した評価があったにもかかわらず、あえて新しいものを描いたチャレンジ精神のある人。作品は、今見てもかわいいな、と親しみやすく、新しい感じが面白い。気軽に楽しんでほしい」と来場を呼び掛けた。

 23日まで。2、9、17日休館。一般800円、高校・大学生と65歳以上400円。同時開催中の「インプリントまちだ展2019田中彰(しょう) 町田芹ケ谷えごのき縁起」展も観覧可。問い合わせは同館☎042(726)2771。

 
 

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