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ハチャトリアンの魅力語る 横浜みなとみらいホール館長

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年6月5日(水) 19:21

当日はプレトークを行う池辺館長。高校生時代にハチャトリアンが指揮する演奏会を聴きに行ったこともあるという=横浜みなとみらいホール(横浜市西区)
当日はプレトークを行う池辺館長。高校生時代にハチャトリアンが指揮する演奏会を聴きに行ったこともあるという=横浜みなとみらいホール(横浜市西区)

 「剣の舞」や「仮面舞踏会」で知られる旧ソビエト連邦の作曲家、ハチャトリアンの協奏曲(コンチェルト)3曲すべてを楽しめる「ハチャトゥリアン・コンチェルツ」が28日、横浜みなとみらいホールで開催される。指揮は川瀬賢太郎、演奏は実力派の若手ソリスト3人と神奈川フィルハーモニー管弦楽団。企画・監修を行った、同ホールの池辺晋一郎館長に、ハチャトリアンの魅力について聞いた。 

 プロコフィエフ、ショスタコービッチと共にソビエト3巨匠の1人とされるハチャトリアン。彼が生きた時代はスターリンによる「社会主義リアリズム」宣言によって、音楽の方向性が政治的に指示され「形式において民族的、内容において社会主義的なもの」が奨励されていた。他の音楽家が当局と衝突する中でも、ハチャトリアンには粛清されたなどのエピソードがあまり残っていないという。「彼が生み出した音楽のベースには、彼のルーツであるアルメニアの民族音楽があり、そこに西洋の音楽体系理論を乗せている。目指す音楽が人民のための音楽だったため、政権側に糾弾されることがなかったのではないか」と池辺館長は分析する。

 ジョージア(グルジア)のアルメニア人家庭に生まれ育ったハチャトリアンの楽曲は、コーカサス地方の民族音楽にみられるような躍動感のあるリズムが特徴的だ。一方で「仮面舞踏会」の「ワルツ」にみられるような洗練された一面もあり「古典的なたたずまいの中に、ロシアの土の匂いを感じられる」。

 今回の企画ではチェロ、ピアノ、バイオリンのための三つの協奏曲が演奏されるが、特に「バイオリン協奏曲」は披露される機会が多く、「20世紀のバイオリン協奏曲の5指に入る名曲」と池辺館長。チェロは石坂団十郎、ピアノは佐藤卓史、バイオリンは郷古廉がソリストを務める。いま注目を集める若手ソリストの技巧と同時に、オーケストラとの美しい合奏も楽しめそうだ。

 「ハチャトリアンはオーケストラの楽器の使い方がとても素晴らしい。三つの協奏曲を一度に演奏するということは、オーケストラにとって決して楽なことではないが、神奈川フィルがここに懸けてくれるであろうエネルギーに期待している。アイデアマンである、指揮者の川瀬君が演奏をどのように統率していくのかにも注目してほしい」

 午後7時開演。全席指定6千円。問い合わせは、同ホールチケットセンター☎045(682)2000。

 
 

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