「生きる力感じて」
横浜ゆかりの俳優、五大路子さんが3冊目となる著書「Rosa─横浜ローザ、25年目の手紙」(有隣堂)を出版した。戦後、横浜の街角に立ち続けた白塗りの娼婦(しょうふ)メリーさんをモデルにした一人芝居「横浜ローザ」を戦争の記憶を継承するライフワークとして演じ続け、来年25周年を迎える。五大さんは「自分の人生を重ね、ローザを生きることは、自分自身を見つめ直すことだった」と思いを込める。
メリーさんとの出会いから、夢であった米国公演の軌跡、東日本大震災などの困難に直面するも語り部として若い世代に戦争の悲劇と命の尊さを伝える現在までを、写真などを交えながらつづる。
2015年には、かつての敵国だった米国での公演を実現。ニューヨークの劇場で15歳の少女から「ローザは私のヒロインになった」と話し掛けられ、「少女の言葉が今でも忘れられない。困難を乗り越えた彼女(ローザ)の生き方に共感が得られた」と振り返る。
帰国後は、横浜の戦争の記憶を若い世代にも伝えたいと、朗読劇などを通して横浜大空襲の惨禍を伝える活動に尽力する。「戦後75年は遠い昔と感じるが、当時を知る人にとっては今も続いている。この街に生きた人たちの思いを私の体を通して語り続けたい」
B6判160ページで1650円(税込み)。有隣堂をはじめ、首都圏の主要書店で販売。問い合わせは、有隣堂出版部電話045(825)5563。
五大路子さんが新著 「横浜ローザ」来年25周年 語り部人生つづる
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自著を手に「ローザから生きる力を感じてほしい」と話す五大さん=横浜市港北区 [写真番号:381893]
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舞台で横浜ローザを演じる五大さん(写真家・森日出夫さん撮影) [写真番号:381894]