シンガー・ソングライターの山本達彦が24日、横浜赤レンガ倉庫のライブレストラン、モーション・ブルー・ヨコハマ(横浜市中区)に登場する。洗練されたスマートなたたずまいで「LAST GOOD‐BYE」「摩天楼ブルース」など多くの美しい旋律を送り出した「シティーポップの貴公子」。秋の横浜に、軽やかな風を吹き渡らせる。
「THE TRIO 2020」と題したライブツアーはベースの戸川智章、ドラムの江野尻知宏とのトリオ編成が特徴。2018年のデビュー40周年ツアーから同じメンバーで演奏を磨き続けている。66歳の山本に対して戸川と江野尻は40代だが「音楽に年功序列はないし、若いミュージシャンと一緒に音楽を作ってみたかった。数年一緒に演奏してきたので親密さも出てきたし、ほどよい緊張感と温かさのある演奏ができていると思います」と手応えを語る。トリオ編成を選んだ理由を聞くと「高校生の頃からジャズが好きで、ビル・エバンス・トリオなどにも憧れがあったので、それをやっと実現できたという気持ち。アコースティックで、会場の雰囲気に合うゆったりした曲を演奏したいと思っています」とうれしそうにほほ笑んだ。
長きにわたりライブを中心に活動を続けてきた山本だが、今年は新型コロナウイルスの影響で3月ごろから公演の中止・延期が相次いだ。7月から有観客のライブを再開したが、これまでとは違う特別な気持ちでステージに立っているという。「職人肌なので、いつもは良い音楽を聴いてもらうことだけを考えていた。今年は、社会を覆う暗い雲を取り払い、太陽と青空を感じてもらえるような音楽を届けたいというスピリットを持って演奏しています」
1982年に発表したアルバム「太陽がいっぱい」に代表されるように、都会的で明るいシティーポップは近年、若い世代や外国人によって新しい光が当てられているが「フォーク、ロックのどちらでもない、おしゃれな感じを僕たちは望んでいた。経済的に豊かになりつつあった、その頃の日本社会の無邪気さがシティーポップの華やかさに表れているのかもしれませんね」と分析する。「最近の音楽と比べると幼稚っぽく感じられるかもしれないけど、シティーポップには、深く考え過ぎない余裕と幸福感を感じられると思いませんか?」
「力まずに、何となく楽器に触れている方が良い曲ができる」というが、「歌い方」については納得することなく追求を続けている。「技術が高ければいい音楽になるわけではなく、その人の人間性や人生経験が味わいを作り出すのだと思う。曲に魂を感じてもらえるように、今後も自分の表現を追求していきたいですね」
モーション・ブルー・ヨコハマ■24日
山本達彦LIVE TOUR「THE TRIO 2020」1部は午後4時15分、2部は7時15分開演(入れ替え制)。全席指定7700円。チケットはモーション・ブルー・ヨコハマ、電話045(226)1919。
山本達彦が24日、モーション・ブルー・ヨコハマに登場
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ステージから明るいエネルギーを届けるため、自粛期間は散歩をしたり、2月から始めたインスタグラムへの投稿を楽しんだりして前向きに過ごしていたという。「切り取りたい風景を撮影して、どんな言葉を付けるか考えるのはとても楽しいですね」(横浜市内、撮影・花輪久) [写真番号:377283]
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