街と農地が混在する大都市横浜。横浜市民が、いつでも旬の農産物を味わえるのは農業者がいてこそ。その中でも横浜の農業を支えている女性農業者を6回シリーズで紹介します。笑顔が輝く女性農業者をJA横浜のトップが訪ねました。
「横浜で自分スタイルの農業をしていきたいと思っているんです」。港北区小机町を中心に、父・勝彦さんに任された1ヘクタールの畑で、100種以上の野菜を手掛ける松本こずえさん。日焼けした顔にたたえる笑みは、たくましさと優しさが入り混じっています。
こずえさん流の農業を探ってみると、そこには女手一つで農業をしているからこそ無理をしない、「御身大切」という祖父からの教えがあります。
かつてはレコード会社に勤め、実家にUターン就農したのは8年前。クワの使い方もわからずに腰痛に悩まされたことも。キャベツなどの一般的な重量野菜よりも、変わり野菜に目を向けるようになり、今ではトラクターやキャタピラの農耕機を使いこなしています。作業の効率化はもとより、自分1人でできる農業スタイルを確立してきました。
力を入れて育てているのは、コリアンダーなどの繊細な香り野菜や、15種以上にもなるミニトマトのほか、ロマネスコや色大根など、レストランで重宝する珍しい野菜やミニサイズのもの。横浜を代表するホテルのシェフたちにも信頼され、野菜のリクエストをされることも。「たとえば肉料理の上に載っている小さな葉1枚でも目立ちますよね。味はもちろん、色や形や食感と、お客さんがその1枚で店のクオリティを判断します。だから、良いものを提供したいんです」。
今後は「地域の方の収穫体験や、横浜の女性農業者グループがつくる野菜でレストランメニューの企画ができれば」と目を輝かせて目標を語ります。地の利を生かし、これからもこずえさん流の農業を追求していきます。
JA横浜 石川久義代表理事組合長の
~訪問記~
こずえさんは、まったく違う業種から農業に飛び込み、情熱と愛を感じました。家庭料理を楽しむ女性ならではの感性と消費者目線が野菜に表れています。女性農業経営者の新しい栽培方式や試みに期待しています。
企画・制作:神奈川新聞社クロスメディア営業局