株式会社リクルートホールディングスが毎年発表し、今回で10回目になるトレンド予測。2018年12月に発表された「2019年のトレンド予測」では、住まい、新卒採用、中途採用、人材派遣、アルバイト・パート、美容、自動車、飲食の8分野において、それぞれ時代の流れを読む新しいコンセプトとしてキーワードが発表された。
このトレンド予測は、リクルートグループの各事業が日々の営業活動を通して得た企業とユーザーの声をもとに、各分野の兆しを捉え、紡ぎ出されている。
それぞれの分野の業界活性化につながる事例や、4月からの新生活をスタートするために知っておくと便利な情報を4週に分けて紹介する。
【美容】分野のトレンド予測キーワードは『サロ友(さろとも)』。このトレンドが予測された背景から、今後の見通しまでを解説する。
人が集まる「強み」を活かした、施術以上の付加価値。
サロンが人をつなげ、情報発信のハブ的役割も担う時代。
人口減少によるマーケットの縮小とサロン数の増加に伴い、競争が激化している美容業界。一方、顧客の側には仕事や家庭以外で共通の趣味を持つ人と実際に会ってつながりたいというニーズがある。美容サロンはもともと人が集まる場所という強みを持っている。顧客のつながりを増やしたいというニーズに応えるにはうってつけの場所だ。同じ地域や共通の趣味を持った人たちがサロンに集まり、つながる『サロ友(さろとも)』がいま増加の兆しを見せている。
『サロ友』ができるサロンのタイプには2つあるようだ。友だちに会いに行くような感覚で、近所の人たちが気軽に集まる「ご近所タイプ」。そして同じ趣味や世界観を持った人たちが、遠方からでも集まる「趣味タイプ」。それぞれのタイプに個性豊かなサロンの事例があるが、まずは「ご近所タイプ」を見てみよう。東京・下北沢の「T:Luck(ティーラック)」というサロンでは、施術以外のサービスとしてクラフトビールを提供しており、顧客同士でビールを飲みながらのくつろいだ交流が生まれているという。利用している30代女性は「施術以外でもビールを飲みにフラッと寄れる場所。ついでにいろいろ相談できるのもうれしい」と話す。
「趣味タイプ」のサロン代表は、東京・清瀬の「BB.つばめ(ビービーツバメ)」。「鉄道ムードの床屋」という看板に偽りなしで、店内には鉄道グッズが所狭しと置かれており、店主自らも駅員のコスチュームで散髪をするという。「ここに来れば同じスタイルの鉄道ファンと交流ができる」と話すのは同店の常連客。店主とディープな鉄道談義に花を咲かせたり、ほかの客と情報交換をしながら散髪ができる。鉄道好きにとって特別な場所となっていることは、はるばる北海道から通うファンがいることからもうかがい知れる。
こうした『サロ友』に出会える個性的なサロンは東京に限らず、福島、大阪、福岡など全国にも広がりを見せ、施術プラスアルファがサロンの魅力となって人を呼び、顧客同士をどんどんつなげている。美容サロンにとって新しい時代が到来しそうだ。
▶次ページ 人材獲得競争の激化で、注目される「職場スカウト採用」。配属先の職場長や同僚が採用活動を主導。
【2019年のトレンド予測キーワード】
「デュアラー」(住まい分野)
「就域」(新卒採用分野)
「職場スカウト採用」(中途採用分野)
「留Biz大学生」(人材派遣分野)
「学び場イト」(アルバイト・パート分野)
「サロ友」(美容分野)
「もしもCAR電」(自動車分野)
「ポータグルメ」(飲食分野)
▶詳細は株式会社リクルートホールディングスの「2019年のトレンド予測」