川崎市は9日、性的少数者(LGBTなど)のカップルをパートナーとして公的に認証する性的パートナーシップ宣誓制度の案を発表した。法律婚か事実婚に限られていたカップルでの市営住宅への入居ができるようになる。同様の制度は県内では横浜、横須賀市など6自治体で導入されており、政令市では全国13番目となる見通し。
5月11日までパブリックコメント(意見公募)を実施し、7月1日からの施行を目指す。
一方または双方が性的少数者のカップルが対象。川崎市内在住か転入予定の成人で、市職員の前で宣誓書に記入すると受領証が交付される。相続や社会保障で法的効力はないものの、病院での医療行為の説明を一緒に受けられたり、携帯電話の家族割引が適用されたり、受けられる官民のサービスが広がるメリットがある。
市人権・男女共同参画室は「性的少数者のカップルは法的に存在しないかのような扱い。当事者の生きづらさを解消し、生活上の障壁を取り除く必要がある」と説明。昨年12月には人種や性的指向、障害などを理由にしたあらゆる差別の解消を明記した「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が成立、施行されており、「公的機関による認証は性的少数者への差別や偏見の解消につながり、条例の趣旨にもかなうものだ」と話す。
事実婚カップルも制度の適用対象に含む自治体も増えているが、「あくまで性的少数者が抱える困難さの解消が目的」として川崎市では対象外とした。宣誓書が他自治体で利用できる連携が横須賀、鎌倉、逗子市などで始まっており、川崎市人権・男女共同参画室は「対象が異なる場合は難しいが、同じ自治体とは相互利用できるようにしたい」としている。