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【KーPerson】南沙良さん
役と重なる自分、感情の爆発に震えた

K-Person 神奈川新聞  2018年07月01日 09:37

南沙良さん
南沙良さん

南沙良さん

 映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(14日公開)では、思い通りに話ができない吃音(きつおん)に悩む高校1年生・大島志乃を演じた。

 期待に胸を膨らませた新生活。志乃は自己紹介で注目され混乱した。「お、おっ、おっ、お」と言葉が続かず、笑いものになる。


(C)押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
(C)押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

 「人前で話すことが苦手なのは、私も同じ」

 同作が初めての主演作。クランクイン前日は心配で眠ることができなかった。自身に押し寄せる不安と、登校中に繰り返し名前を口にする志乃の心細さが重なった。

 新しい制服、校舎。中学時代とは違う通学路。初めての経験は、全てが一大事だ。時間が過ぎれば笑い話になることも、渦中の時は客観視する余裕がない。

 「つらいことからは逃げたくなる」

 青春期特有の不安定さに押しつぶされそうになった。

 粗削りだけど繊細。敏感な心は、傷だらけだ。しかし、志乃と痛みを分かち合う中で、台本に書いてあるセリフを、自分の言葉として口にできるようになった。

 文化祭が開かれていた体育館での一場面。大勢の前で「大島志乃です!」と押しとどめていた感情を爆発させた時、「わー、言えたー!」と全身が震えた。

 原作者の押見修造は、吃音だった実体験を元に同コミックを書き下ろした。思いが詰まった作品。演じきれるか悩んだが、鼎談(ていだん)した押見に、「志乃だった」と太鼓判を押され、安堵(あんど)のあまり全身の力が抜けた。

 居場所を求めて空回りする無防備な時。同じクラスの岡崎加代(蒔田彩珠(まきたあじゅ))は、ミュージシャンを目指しているが実は音痴。お調子者の菊地強(萩原利久)は、他者との距離感に悩むなど、知られたくない秘密を抱えている。

 「私もコンプレックスはたくさんある。でも排除するのではなくて、自分の白くない部分とどう付き合っていくのか。そう考えることが必要」

 周囲と異なる部分を「違う」と引け目に感じ、コンプレックスに置き換えてしまうのは自分自身。でも個性と見方を変えれば、唯一無二の力になる。

 「もし友達の苦悩を知ってしまったら、言葉が上手じゃないから、うまいことは言えないけれど、ただそばにいてあげたい」。不器用な素顔をのぞかせた。

みなみ・さら 2002年生まれ。川崎育ち。2014年に雑誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを受賞。現在も、同誌の専属モデルとして活躍している。17年に映画「幼な子われらに生まれ」で女優デビューした。最新作「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」は横浜のシネマ・ジャック&ベティで21日から上映。

記者の一言
 「よろしくお願いします」。声に振り向くと、お菓子が入った籠を手にした南さんがやってきた。「取材続きでおなかがすいてしまって」。素直な告白に噴き出した。趣味は神社仏閣巡り。撮影前は、自宅近くの神社にお参りに行く。「小学6年生の時、京都の三十三間堂で出合った迦楼羅王(かるらおう)像がお気に入り」とこだわりが強い。裁縫も、パッチワークのようにデニムを重ねたボトムス作りに半年以上向き合うなど、一本気な性格のよう。ジージャンの袖もくっつけたという異色作。着こなしているところを見てみたい。


南沙良さん
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