川崎市は8日、市差別のない人権尊重のまちづくり条例に基づきヘイトスピーチの認定に当たる差別防止対策等審査会の委員を発表した。人権侵害の被害者救済と権力乱用防止の観点から実務経験をポイントに人選した。条例はヘイトスピーチを繰り返した人物に最高50万円の罰金を科すことを定めており、審査会は市が勧告、命令、氏名公表、刑事告発を行う際に妥当性などを審議する。
石井忠雄弁護士、最所(さいしょ)義一弁護士、人見剛早稲田大大学院教授、棟居快行(むねすえ・としゆき)専修大法科大学院教授、吉戒(よしかい)修一弁護士の5人で任期は2年。
石井弁護士と吉戒弁護士は元裁判官で法務省人権擁護局長の経験者。最所弁護士はインターネットの問題に詳しく3月まで市の人権施策に関する有識者会議の委員を務めた。棟居教授は憲法学者。人見教授は行政法の専門家で市行政不服審査会の委員でもある。
10日に最初の審議会を予定していたが、新型コロナウイルスの感染防止のため開催を中止。罰則規定の施行は7月1日からだが、審査対象であるインターネット上のヘイトスピーチの対策は今月1日から始まっており、市人権・男女共同参画室は「審議を必要とする事案が出てきた段階で招集を検討したい」と話している。