在日コリアンの子どもたちが学ぶ川崎朝鮮初級学校(川崎市川崎区)で20日、卒業式が行われた。友達や後輩との別れを惜しみ、恩師への感謝にむせぶ子どもたちがいて、成長したわが子に感涙する親たちの姿があった。ほほ笑ましく、ありふれた光景が、なぜ朝鮮学校だけ排除されるのかという差別の理不尽さを際立たせてもいた。
「感無量。コロナ問題でどうなるかと思ったけれど、無事に式ができて良かった」。長男(12)の門出に目を細めた母親(42)はそう言って教員たちへの感謝も忘れなかった。出席者を卒業生7人と家族、在校生、教員らに限るなど感染予防に心を砕き、何とか迎えた晴れ舞台だったからだ。
教員たちは「感染者が出れば『だから朝鮮学校は』とひとくくりにしてバッシングされかねない。同胞に迷惑を掛けるわけにはいかない」と声をそろえる。日本の学校であれば使う必要のない神経を使い、必要以上に張り詰めた思いで日々を過ごしているからこそ、子どもたちの純粋な涙がまぶしかった。