次代のエースダイバーとして飛び込み界の期待を集めてきたのが坂井丞(27)=ミキハウス=だ。辛酸をなめたリオデジャネイロ五輪から4年。待っていたのは苦悩の日々だった。全競技を通じて最も早く東京五輪代表に内定しながらも、つかんだのは第一人者の寺内健(39)=同=と挑むシンクロ板飛び込みのみ。ただ、現状世界と渡り合える手応えがあるのも同種目だ。積み重ねた全てを注ぎ、分厚い壁を突き崩す。【2020年3月13日紙面掲載】
昨年7月、韓国で行われた世界選手権。男子シンクロ板飛び込み決勝で7位に入り東京五輪代表の座を手中に収めた。
「やっとスタートラインに立てたので、うれしい」。2大会連続でつかんだ五輪切符は、全競技を通じた自国開催の代表内定第1号。12歳年上の寺内と共に無数のフラッシュを浴びた。
称賛と喝采は1年後の夏への期待そのものだった。だがその裏で、坂井は苦しんでいた。