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映画「ちむぐりさ」28日から上映
少女が紡ぐ沖縄の心 本土目線で現実の姿描く

社会 | 神奈川新聞 | 2020年3月26日(木) 10:00

 米軍基地問題に翻弄(ほんろう)される沖縄の姿を、北国から移り住んだ少女の目線で追ったドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」(配給・太秦)が28日から、東京都内で上映される。少女が紡ぐ言葉を軸に、ウチナーンチュ(沖縄の人)の明るさの「向こう側」にある現実を描き、本土の私たちに呼び掛ける。共感の心とともに、わが事と考えてほしい─。

 映画は、少女の語りから始まる。

 〈沖縄の言葉、ウチナーグチには「悲しい」という言葉はないという。それに近い言葉は「肝(ちむ)ぐりさ」。でも、ただ悲しいという意味ではない。誰かの心の痛みを自分の悲しみとして一緒に胸を痛めること。「あなたが悲しいと、私も悲しい」。それがウチナーンチュの心、ちむぐりさ〉

 少女は、石川・能登半島出身の坂本菜の花さん。2015年に15歳で親元を離れ、沖縄にやってきた。中学時代に修学旅行で初めて訪れて以来、何度も足を運んで魅力を感じていたからだった。那覇市内のフリースクール「珊瑚(さんご)舎スコーレ」高等部に入学し、多感な10代後半の3年間を過ごす。カメラはその姿を追う。

 併設された夜間中学では、沖縄戦で学業の機会を奪われたお年寄りたちが学ぶ。菜の花さんはお年寄りたちと交流を重ねながら、沖縄の文化や歴史に触れ、人々の心根の美しさに魅(み)せられていく。

 その穏やかな日々の一方、米軍関連の事件事故が相次ぐ。故郷で両親が営む旅館の常連だった記者に文才を見初められた菜の花さんは、スクールに入学以降、地元紙「北陸中日新聞」にコラムを寄せ、基地の島での日常を豊かな感性でつづっていく。16年4月、元米海兵隊員の軍属が20歳の女性を殺害した事件では、被害女性や遺族、基地被害に長く苦しむ沖縄に思いを寄せることなく、「抗議活動が大きくなる『恐れ』」、米大統領来日を前に「最悪な『タイミング』」と本土メディアが報じる「言葉一つひとつが、私の喉に刺さって抜けません」と記した。

 
 

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