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なぜ人は年末に第九を聴く 映画「ルートヴィヒに恋して」

カルチャー 神奈川新聞  2020年03月25日 17:40

出演者が街中で「第九」を演奏したフラッシュモブ=兵庫県のJR姫路駅前(映画製作工房シネマヤ提供)
出演者が街中で「第九」を演奏したフラッシュモブ=兵庫県のJR姫路駅前(映画製作工房シネマヤ提供)

 人々はなぜ、年末に第九を聴くのか。そして歌うのか。市民合唱団のメンバーが日常生活の中で練習に励むさまを記録したドキュメンタリー映画「ルートヴィヒに恋して」(金素栄(キムソヨン)監督)が28日から4月10日まで、横浜市中区長者町の映画館「横浜シネマリン」で上映される。

 舞台は兵庫県。会社員、主婦、高校生、100歳を超えた高齢者も。彼らは農作業をしながら、自転車をこぎながら、電車の中で、風呂に漬かって、慣れないドイツ語で練習する。

 その理由はさまざまだ。「死ぬまでにしたい10のこと」の一つとして。亡き妻が残したコンサートの切符を見て。出征した兄が愛した曲だったから…。インドネシア出身の看護師は合唱団の何げない会話に家族のぬくもりを感じ、余命を宣告された男性は「もっと長く生きてみせる」と、年末の舞台を目標にする。そうした思いを、巧みなカメラワークと編集で見せる。

 韓国ソウル出身の金監督は「堅苦しくエリート的なイメージのあるクラシック音楽が、年末の風物詩になっていることに驚いた」と、来日当初を振り返る。その目に第九は「日常の中で“呼吸”する大衆的な存在」と映った。取材を進めるほどに、第九が「民衆のための平和の歌」だと思えてくるようになったという。

 「長い第九の中で、合唱の部分は十数分ほど。年1回のその時間のために、人々は1年を費やしてチャレンジする。それが一人一人の居場所であり、人生そのものだと感じた」

 4月4日の上映後、金監督の舞台あいさつがある。問い合わせは同館☎045(341)3180。


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