「主文、被告人を死刑に処する」。約45分間に及んだ判決言い渡し。静まり返った法廷内に青柳潔裁判長の声が響いた。植松聖被告は証言台の前の椅子に腰掛け、膝に手を置いたまま微動だにしなかった。
午後1時半の開廷直後、裁判長は「主文は最後に告げます」と通告。被告に着席を促し、判決理由の朗読から始めた。厳刑が予想される形で朗読が続く中、黒いスーツ姿の被告は背筋を伸ばし、真っすぐ前を見据えて聞き入った。時折、ふうと大きく息をはき、前方に並ぶ裁判員を左から右へ見渡すしぐさも見られた。
「閉廷します」。判決言い渡し後に裁判長がそう告げた瞬間、被告は「すみません」と突然右手を挙げ、人さし指を立てて「一つだけ」と言って発言の機会を求めた。「閉廷、閉廷」「傍聴人は退廷して」という裁判所職員の怒号が響き渡り、一時騒然とした雰囲気に。発言は認められず、被告は刑務官6人に囲まれて退廷する裁判長の背中を見送った。