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【KーPerson】野口聡一さん
3回目の飛行、宇宙旅行への布石に

K-Person 神奈川新聞  2018年04月22日 10:09

野口聡一さん
野口聡一さん

野口聡一さん


 2019年の終わりごろから約半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在することが決まり、10年ぶり3回目となる宇宙飛行に挑む。

 地上から約400キロメートル上空を周回するISSは、サッカー場ほどの巨大建造物だ。1日に地球の軌道を16周する施設の中で、世界各国から集まった3~6人の仲間と共同生活を送る。


船外活動の訓練に備える野口さん((C)JAXA/NASA)
船外活動の訓練に備える野口さん((C)JAXA/NASA)

 「“宇宙ホテル”とまでは言えないけれど、宇宙食も300種類以上あるし、Tシャツで過ごせます。半年ほどだったらエンジョイできるぐらい快適な施設ですよ」と笑顔を見せる。

 前回のミッションでは、約5カ月半ISSに滞在した。雲が渦巻き、太陽の光を受けて輝く、刻々と変わる地球の姿が見えた。「あの美しさを目の当たりにすると、水資源など地球環境はかけがえのないものだと実感できます。毎日がベストシートの眺めです」

 県立茅ケ崎北陵高校1年の時、スペースシャトルの打ち上げに感動し、日本人の宇宙飛行士が誕生する前から宇宙に行きたいと夢を抱いていた。東京大に進学し、卒業後は石川島播磨重工業(現IHI)で航空エンジンの専門家として研鑽(けんさん)を積み、宇宙飛行士の試験に応募した。

 難関の試験を突破し、572人の中から宇宙飛行士候補者に選ばれた。スペースシャトルの基礎知識200科目以上の授業や、ジェット機の飛行訓練、冬山でのサバイバル訓練など、数々の試練を乗り越えてきた。

 中でも、最も重要な才能は「モチベーションを保つこと」と語る。「やる気がないと訓練も続けられないし、いろいろなことに興味を持って自分のやりたいことにつなげていく力が大切」と語る。

 「僕は宇宙に行けることそのものに興味があったけれど、今後はその次のステップ、つまり宇宙をどう使うかが大事。かつては国家が宇宙開発を主導していましたが、今や民間の活力、アイデア、イノベーションが宇宙をけん引しているのです」と目を輝かす。

 今回のミッションでは宇宙旅行への課題も視野に活動する予定だ。「日本の実験棟『きぼう』での科学実験は1丁目1番地のように大切な任務ですが、宇宙への行き来に関する課題もしっかり解決し、次の時代の布石を打っていきたいです」

 人類の夢を携えて、一歩先の未来を切り開く。

のぐち・そういち 宇宙飛行士。1965年生まれ。横浜市出身。県立茅ケ崎北陵高校、東京大学大学院修士課程修了。石川島播磨重工業(現IHI)に入社。96年、NASDA(現JAXA)の宇宙飛行士候補者に選定。98年、NASAのミッションスペシャリストに認定。2005年、スペースシャトル「ディスカバリー号」で初飛行を果たし、宇宙飛行、船外活動リーダーを経験。09年12月~10年6月、日本人初のソユーズ宇宙船フライトエンジニアとして活躍、国際宇宙ステーション(ISS)に約5カ月半滞在した。19年末から約半年間、ISSに長期滞在する3回目の宇宙飛行が決まった。

記者の一言
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)のブルーのユニホームに身を包み、さっそうと現れた野口さん。180センチの長身で、冒険家のようにたくましい印象を受けた。中高時代、ボーイスカウトで登った丹沢山系での経験が、宇宙飛行士の訓練にも生かされているという。「自分たちで計画し、必要な準備をして、一人の落後者も出さずに無事に茅ケ崎駅に戻ってくる。今振り返ると良い練習でした」。丹沢が宇宙につながると思うと、とてもロマンチックだ。ISSは地上からも見えるので、空を見上げたい。


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