条例制定求める声も
横浜中華街(横浜市中区)の老舗料理店などに中国人への差別的な文言を記した手紙が届いた問題で、横浜市の林文子市長は5日、定例会見で「まことに許せない。ヘイトスピーチと考える」と強く批判した。市は同日、市のホームページに人権配慮を訴えるページを新設するなどの対応をとったが、外国人支援団体などは、より実効性ある対応としてヘイトスピーチを禁止する条例の制定を求めている。
「不当な差別的言動であるヘイトスピーチは人権侵害で、この事例はヘイトスピーチと考える」。市長は厳しい表情でこう述べ、「本当に憤りを感じている。お店の方々の気持ちを考えると大変悲しい」と続けた。人権担当理事が横浜中華街発展会協同組合を訪ね、手紙の内容を確認したことを明かした上で、「関係機関と連携して対応していきたい」とした。
市人権課は同日、新型コロナウイルス関連の情報を掲載した市のホームページに、会員制交流サイト(SNS)などで外国人に対する差別的な書き込みをしないよう呼びかけるページを新設した。ただ、それ以上の対応については「ただちに具体的に何かをするということはない」と説明。反応することで「送った相手が逆に喜ぶ可能性がある」として、発展会側が望んでいないことを理由に挙げた。
外国人を支援する団体は市の姿勢をもどかしく感じている。