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【K-Person】蒼井優さん
映画愛感じる“ヨコハマ” 演じることが本当に好き

K-Person 神奈川新聞  2018年03月25日 10:23

蒼井優さん
蒼井優さん

蒼井優さん

 「自分が憧れる役者さんたちが受賞されている映画賞。その中に私の名前があると思うと、とても光栄です」

 昨年公開された白石和彌(かずや)監督「彼女がその名を知らない鳥たち」で、第39回ヨコハマ映画祭の主演女優賞に輝いた。「この作品に出て、本当に心の底から映画っていいなという思いがじわっと広がって、胸がいっぱいになる経験を久しぶりにしました」と笑顔を見せる。


(C)2017「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
(C)2017「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

 演じた十和子は、15歳年上の恋人陣治(じんじ)(阿部サダヲ)と暮らしながらも、別れた恋人の俊一(竹野内豊)を忘れられず、時計屋の店員真(まこと)(松坂桃李)との情事に溺れる“共感度0%”の役柄だ。

 「確実にお客さんをいらいらさせる強烈なキャラクターで、演じる怖さがありました」と振り返る。それでも「どこまで自分が嫌われ者の役を演じられるのか、試してみたい気持ちがあった」と挑んだ。「観客の気持ちが離れてしまわないよう、監督と私ですごく微調整を重ねながら演じました」。恋愛依存が強く、生きづらさを抱えるはかない女性を演じきった。

 ミュージカル「アニー」の子役からキャリアをスタートし、銀幕やドラマでの活躍は常に絶えず、演じる役柄は幅広い。「蒼井優の名前の中には私自身が占めている割合は実は少なくて、まわりで支えてくださっている人たちが今の“蒼井優”をつくってくださった」と感謝の気持ちを忘れない。

 「役者は本当に自己満足の世界。もっと人のためになるような仕事に憧れる時もあります。でも、演じることが好き」と語る。「本当に何もできない私だけれど、そんな自分でも受け入れてくれる人たちがいる。一緒に作品をつくらせてもらえるのが、すごくうれしい」

 今回のヨコハマ映画祭では、松坂も助演男優賞、白石も監督賞を受賞した。

 「監督は言わずもがなですが、松坂さんの演技のすごさがどれだけの人にちゃんと伝わるんだろうと思っていたので、ヨコハマの方々の目線は、現場の人間にすごく近いなと感じています。映画を愛する方々なんだと、改めてすごく伝わってきました」と目尻をふわりと下げた。

あおい・ゆう 女優。1985年生まれ。福岡県出身。99年にミュージカル「アニー」で舞台デビュー。2001年岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」で脚光を浴びる。06年李相日監督の「フラガール」などでヨコハマ映画祭の主演女優賞を受賞。同作品は日本アカデミー賞最優秀助演女優賞と新人俳優賞も受賞。沼田まほかる原作・白石和彌監督の映画「彼女がその名を知らない鳥たち」では、ヨコハマ映画祭をはじめ各映画賞で主演女優賞を受賞。同作品のBlu-ray&DVDは4月25日にリリース予定。

記者の一言
 「女優同士って、互いに距離があるのではと思われがちですが、私は同年代の女優さんたちに対して仲間意識があるし、とても尊敬しています」。インタビュー中、演じることが本当に好きなんだという思いが言葉の端々から伝わってきた。「映画はふるさとのように愛すべき存在」。言葉を選びながら自分の思いを誠実に伝える姿は、とてもすてきだった。


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